岩波文庫<br> 日蔭者ヂュード 〈中〉

岩波文庫
日蔭者ヂュード 〈中〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003224045
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

「テス」とならんでハーディの名声を世界的に高めた小説.パン屋の小僧をしながら学問に志していた孤児ヂュードも肉欲の女アラベラと関係したばかりに人生行路に狂いを生ずる.彼は従妹シューの精神愛にひかれ,新しい家庭を築きあげようと試みるが過去の傷が2人を悲運へと追いやる.霊肉の争いを描いた深刻な近代小説である.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

17
『Hey Jude』は、一途な思いが叶わなかった友を励ます歌と読める。歌詞の原文も邦訳も大差はない。一方、恋愛に関すると原作の中巻時点で相手は二人で二勝二敗。「一途な恋」ではない。3巻物の原作と7分の楽曲では、表現に差がでるが、一部の切取りからは名曲は生まれないはず。時代背景は19世紀末。結婚も形を変えつつあった。イギリスの伝統的な価値観が変わり、女性が婚姻や離別の主導権を持つようになった。それにより、結婚の形態はばらついた。上流階級入りを狙った「玉の輿」婚、植民地法による重婚、同棲、家庭内別居と多様化。2021/04/04

テイネハイランド

12
英原書と共に中巻を読了。主要な登場人物がごくごく限られ人間関係も複雑ではない(小説というより戯曲に近い)ので、物語の大まかな流れを理解するのは難しくありません。暗い物語といえば思い出す名作「嵐が丘」の主役二人(ヒースクリフとキャサリン)の言動の突き抜け方に比べると、この本の主役(ジュードとシュー)の巻き起こす波紋はかなり地味に思えます。本書が書かれたころのイギリスは道徳的に大変厳しい時代だったため、不倫というテーマはインパクトがありましたが、今読むとそうでもなく、やや「気の抜けたビール」感があります。2017/05/05

takeakisky

1
少しユーモラスさが顔を覗かせ、ゆったりした気分になる中盤。気持ちのいいくらいの身勝手さをみせるヂュードの妻と、清々しいくらいの物分かりのよさをみせるシューの夫。どちらも軽やか。それに較べると重く屈折した二人の感情と行動。旧弊に囚われているのは、この二人の方。知識は彼らを解放せず縛る。ヴォルテール。自分たちの姿が見えていないことを象徴するかのようなたとえ。フィロットソンの自己認識の正直さ、正確さとの痛ましい対比。さて、ナイーヴな二人の未来にハーディがどんな試練を用意しているのか、怖いもの見たさで最終分冊へ。2024/09/27

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