出版社内容情報
「テス」とならんでハーディの名声を世界的に高めた小説.パン屋の小僧をしながら学問に志していた孤児ヂュードも肉欲の女アラベラと関係したばかりに人生行路に狂いを生ずる.彼は従妹シューの精神愛にひかれ,新しい家庭を築きあげようと試みるが過去の傷が2人を悲運へと追いやる.霊肉の争いを描いた深刻な近代小説である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
12
岩波文庫版の翻訳は1955年のもの。直訳風の箇所も多く、日本語訳だけだと、文学作品として楽しむのは正直厳しいかもしれませんが、注はかなり充実していて、注釈書としてはとても参考になります。じとじと雨の降る天気のようなどんよりとした物語に、このタイトル名「日蔭者ヂュード」のイメージはぴったりで、最初にこの邦訳名に訳した人はかなりセンスがあるように思います。原書には著者独特の英文のリズムがあり、ハーディーは詩人としても知られた人だったなあというのが、読んでいてところどころ感じられるように思います。2017/05/03
takeakisky
0
静かで思索的、内向的、おまけに純真な男性の主人公。意外の念にうたれる。ジャイルズ・ウィンターボーンやディゴリー・ヴェンが思い浮かぶが、彼らを主人公とは言いづらい。話はゆったりと進むが、このリズムには、もう慣れた。無駄はなくもないけれど(クライストミンスター=オックスフォードのくだりは少し冗長)、大丈夫。あんまりナイーヴで心配になるこのヂュード・フォーレイという人物。烏やみみず、豚。1912年版の序でハーディが触れた不道徳な悪評を呼んだところも気になるところ。まさか過ぎてないよね、なんて思いつつ続きへ。2024/09/25
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