出版社内容情報
苦闘六年,たびかさなる敗退にもめげず,一八六五年ついに魔物の山マッターホルンは征服された.だが,その帰途,悲劇が起った.本書はウィンパー(一八四〇‐一九一一)が,その一部始終を,彼自身の手になる繊細華麗な木版画を豊富にちりばめつつ,イギリス風のユーモアを交えて淡々と語ったもの.山岳文学の古典としてあまりにも有名.
内容説明
スイス・イタリア国境に聳えるマッターホルン。アルプスの象徴であるこの名峰を仰ぐとき人は誰しもウィンパーを思うという。度重なる失敗をのりこえ、ついにマッターホルン初登攀をはたすまでの彼の苦闘の物語が、彼自身の手になる豊富な挿絵とともにくりひろげられる。山岳文学の古典としてあまりにも有名。
目次
第1章 発端
第2章 モン・ペルヴーの登攀
第3章 モン・スニイの峠―フェル鉄道―アルプスの大トンネル
第4章 マッターホルンへの第一回の登攀
第5章 マッターホルン登攀・再度の企て
第6章 トゥルナンシュの谷―ブルーイユ・ヨッホ―ツェルマット―グラン・トゥルナランの初登攀
第7章 マッターホルン登攀・第六回の企て
第8章 モン・スニイ街道のサン・ミシェルからラ・ベラルドまで
第9章 エクランの初登攀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
10
1860年、本の挿絵版画を書くためにアルプスへ行ったウィンパーは登山にはまり、イギリスから遠征してはアルプス山系を踏破していく。最初の登山は無茶苦茶だったが、経験を重ね、情報を収集分析し、安全で確実な技術や機材を開発し、さらにマッターホルンへと挑んでいく。そして欠かせない山行を共にする仲間たちの存在。ライバルの出現。古い本のはずなのに、今読んでも面白い。2024/11/30
壱萬参仟縁
4
評者は毎年、ご来光を望むためかしれないが、冬山遭難が後を絶たないのはなぜか、と思ってニュース報道をみてきた。だが、マッターホルンのスケッチにあるように(136ページ)、「そこに山があるから登るしかない」か。障害を前にたじろぐ方がダメなのか。命がけでも失うものはないのだろうか。滑落のリスク。死を覚悟してでも登る人は上る。転落して命拾いする方が珍しい(338ページ)のだから。ビバークは広辞苑で仏語と知った。245ページにはリポビタンDのCMのような挿絵。恐ろしすぎ。ラスキンへのA.エラール著大聖堂も想起した。2012/12/23
Takashi Arai
2
ようやく読み終わった。このところ遊んでばかりいて読書に身が入らない。でもがんばって下巻を読もう。 2015/02/20
kinaba
0
アルプスを登るにこの男を知らぬはモグリであるみたいな人が次々現れる群雄割拠。面白い。比喩でなく最初に道を見つけるという冒険、面白いなあ。2014/06/11
nox
0
氷河の上を歩き岩壁を登る。私は山登りをしたことはないが、いかにもスリリングで楽しそうな語り口で登山に挑戦してみたくなる。登山したことないので描写の想像が微妙なのだが、氷河ってのは山の雪の固まったやつのことなのかな?どっかの配信者が富士山滑落したときも雪はカッチカチだったらしいし。過去の時代の時間感覚の方も面白い。登山のための仲間と何週間も村に泊まり、日々を紀行するのは実に面白そうだ。今の時代はそんな長い期間休むのも難しいからなあ。2023/04/11