出版社内容情報
日増しに衰弱していたドーラが,とうとうあの世へ旅立った.紆余屈折を経て,デイヴィッドは,いつもやさしく自分を見守ってくれていたアグネスへの愛に気がつくのだった.長かった物語もついに大団円を迎える.(全5冊完結)
内容説明
失踪していたエミリーがとうとう姿を現した。一方、日増しに衰弱していたドーラは、あの世へと旅立つのだった。紆余曲折を経て、デイヴィッドはいつも優しく自分を見守ってくれていたアグネスへの愛に気づき…。長かった物語も大団円を迎える。
著者等紹介
ディケンズ[ディケンズ][Dickens]
1812年2月7日、ポーツマスに生まれる。1833年処女作短篇「ポプラ並木通りの夕食会」が『マンスリー・マガジン』誌に掲載される。1838年11月、小説『オリヴァー・トゥイスト』を三巻本で出版する。1843年12月、『クリスマス・キャロル』を発表する。1859年歴史小説『二都物語』を一巻本で出版する。1861年8月、小説『大いなる遺産』を二巻本で出版する。1870年6月9日、脳出血で死亡する。享年58歳
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
28
長い長い物語もようやく大団円。これだけ付き合うと作中人物に愛着がわき、別れが名残惜しくなる。愛読していた連載漫画が最終回を迎えたような気分だ。途中、中だるみがあったり、様々なエピソードすべてに決着をつけようと最後駆け足になったりと不満点もあるけれど、19世紀英国社会にどっぷり浸って、ディケンズ・ワールドを心ゆくまで堪能できた。心を強く揺さぶるような強烈さはないが、デイヴィットと彼を取り巻く人物群像をじっくり丹念に描きながら娯楽性も忘れない、ディケンズらしさ満開の良作と思う。後味が良いのもうれしい。2016/10/29
コニコ@共楽
25
最終巻を新潮の他の岩波文庫、石塚裕子訳で読んでみた。岩波文庫は挿絵があり、古典を読んでいるという親しみを覚える。表紙の絵も「これはあのシーン」と思い描くことができて楽しい。過酷だったけれど生き生きとした子ども時代とは対照的に、重苦しい不幸が重なり、喪失感を抱える心象描写も重厚だ。十数年という”時”を経てデイヴィッドもアラフォーとなっている。オースティンの作品もそうだが、最後の部分でマイナーな登場人物でも「”あの人”のその後」が描かれていて、読者サービス満点だ。特にミス・モウチャーの働きに目を見張った。2022/11/10
俊
21
面白さに関しては文句なし。強烈な個性をもった登場人物が作る物語は本当に楽しかった。1巻を数十ページ読んでみて文体が合えば、全5冊も一気読みしてしまうだろう。読後感も爽やかだ。ただストーリーやキャラクターをかなりデフォルメしているので、現実感が薄れ、少し浅いと感じてしまう部分がある。だからドストエフスキーのような重厚さが好きな人にはちょっと物足りないかもしれない。 2015/07/08
しんすけ
16
物語が大団円に入り結末に向かって走っているような雰囲気だ。 大陸を放浪した末にロンドンに舞い戻り貧民窟に潜んでいたエミリーが見つかる。 ユライア・ヒープの今までの数々の犯罪が明らかになる。伯母さんの倒産もその犯罪によって仕組まれたことが明らかになる。 アグネスの父もヒープの陰謀で貶められていたことも明らかになり名誉を回復する。 この切っ掛けを作ったのがあの貧乏神のミコーバーだったから意外な感がしないでもない。ミコーバーは自分のことになるとだらしない男だったが、他人のためなら俄然論理的に動き出すのが面白い。2021/04/15
tokko
15
何度か繰り返して読むうちに、ようやくドーラの魅力が分かったような気がする。53章では思わず泣けてきた。でも一番この巻で面白く読めるのは52章だろう。それまでオッチョコチョイの借金まみれだったミコーバーがかっこよく見える。今回は挿絵付きだったので、なお楽しめました。2013/10/17
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