内容説明
書誌学者としても知られる英文学者・寿岳文章（一九〇〇‐一九九二）は、若き日から並々ならぬ熱意でブレイク（一七五七‐一八二七）に打ち込んできた。ダンテ『神曲』の翻訳とともに寿岳の最も重要なライフワークとなったブレイク詩の翻訳の精髄を一書に集成。
目次
『無心の歌』
『有心の歌』
稿本詩抄
『セルの書』
『天国と地獄の結婚』
『永遠の福音』
『ラオコォン群像註記』
『小品詩集』より
『ユリゼンの書』
『ミルトン』より
ウィリアム・ブレイクと柳宗悦の大いなる出会い―向日庵本の思い出をこめて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
ブレイクの詩集を読むのは久しぶりであるが、昔読んだのは有名な「虎」の訳のようにもっと象徴主義というか難解で難渋したように思う。しかし本書の「無心の歌」「有心の歌」「小品詩集」は平易な言葉で、胸の内に入り込んでくるよう。特に「無心の歌」の童心に帰るような数々の詩にこの訳はぴったりと合っているように思う。ただ「天国と地獄の結婚」になってくるとやはり擬古文の難解な訳になってきて、「ユリゼンの書」ともなるともういけません。ただブレイクを表現するのだと、こちらの方がいいような。象徴的な幻視の数々、久々に読み込めた。2019/01/05
藤月はな（灯れ松明の火）
38
英文学講義で興味を持った、画家でもあり、ロマン派ブレイクの詩集がお洒落な紺の市松模様カバーで文庫化。アルフレッド・べスターでの引用も有名な「虎よ！虎よ！」や『レッド・ドラゴン』で犯人の背中の刺青のモチーフでもある「大いなる赤き竜」が登場する詩なども収録。「無心の詩」（songs of innocent)では子供の無垢を愛でつつも、ダンテの『神曲』や新約聖書モチーフにした詩で神への信仰に潜む偽善や矛盾を暴き出し、耽美主義を敬拝する様に「国教会とは言え、大丈夫だったのだろうか？」と不安になりました。2013/12/20
Francis
10
9年間積読してふと手に取って読み始めた。聖書からの引用が多い。以前平凡社ライブラリー版ではよく分からなかったのに、洗礼後に読んだ今回はとてもイメージが膨らみ、よく分かるようになった。多くのノン・クリスチャンの日本人にはブレイクの詩の素晴らしさは分からないだろう。2022/10/02
メルキド出版
6
「無心の歌」2019/04/12
lovemys
6
詩集はあまり読まないのだけど、こちら、ブレイクの挿絵と原文が載っているので読んでみました。思わずニヤリとしてしまうものが多い。ブレイクの人柄が、なかなかつかめないなぁ～。もう少し、ブレイクの何かを読んでみたい。ブレイクと言うと、なんとなく、モヤモヤとして、ロンドンの深い霧の向こうに見え隠れする感じにしか捉えられない。キレイな奥様とラブラブだったと言うから不思議（笑）裸でラブラブな生活を送っていたとか（笑）この詩集からは想像できないけどねー（笑）2016/04/13
