岩波文庫<br> ロビンソン・クルーソー〈上〉 (改版)

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岩波文庫
ロビンソン・クルーソー〈上〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 540p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003220818
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

有名な冒険物語であるが,波瀾に富んだ出来事の面白さに加えて,主人公の生き方に表われている当時のイギリス中流層の理想的な姿を読みとりたい.特に二十八年間の孤島の生活では,敬神の念と合理的行動を武器に,いかなる境遇も着々と自力で切り開いてゆく不屈の人間像が,周到に,かつ鮮やかに描き出されている.

内容説明

絶海の孤島に漂着したロビンソンは合理的な行動と敬神の念を武器に、独り営々として生活を切りひらいてゆく。この物語がいまも魅力的であるのは、単にその主人公がイギリス18世紀の人間像を見事に形象化したものとなっているばかりでなく、現代に生きるわれわれ自身の人間性のもっとも中核的なものにもかたく結びついているからである。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

332
私自身も初読なので偉そうなことは言えないのだが、これほどに有名でありながら、(子ども向けの抄訳は別として)実際には読まれていない小説も珍しいのではないだろうか。初めて知ったのだが、これは18世紀の小説(出版は1719年、ちなみに『ガリバー旅行記』は1726年)だった。本書も『ガリバー』もともに、イギリスが7つの海を制覇せんとしていた時代背景が、海洋冒険小説としての成立の背景にあったのだろう。もっとも、『ガリバー』の外向に対して、ロビンソンはしばしば神に問いかけているように、こちらは随分と内省的である。⇒2017/09/16

のっち♬

107
家出して船乗りになったロビンソンは船の難破により絶海の孤島に漂流し、独力で生活を築いていく。孤独により神と向き合い、信仰心に段階的変化を見せるロビンソンには、プロテスタントであり聖書中心主義者である著者の思想が反映されている。小さな王国を築き上げるサバイバル生活の模様も静かで淡々とした筆致で語られ、著者の豊富な実践的知識も披瀝される。限られた資源の有効活用、リスク分散、損益計算等。絶望感や孤独感を脇へ追いやりつつ現実的・合理的に行動していくロビンソンは、経済が転換期にあった当時の英国の中流階級の理想像だ。2017/11/27

扉のこちら側

90
初読。2015年1204冊め。【95₋1/G1000】子どもの頃に児童書で読んだが、ここまで長い話だったとは。無人島で孤独に耐えて生きたということから、クルーソーは善良で強い心の持ち主だったと思い込んでいたが、冒頭では結構な俗人。長い年月島で暮らすうちに人となりも変わっていったけれど、作中表記で言うところの土人や黒人に対しての扱いは、書かれた当時の時代背景からすると仕方がないのかな。児童書ではクルーソーが国に戻るところで終わっていたけれど、この後の冒険が下巻へとが続く。【第7回G1000チャレンジ】2015/12/13

セウテス

65
児童文学としての本作は読んでいるのだが、28年にも及ぶ無人島生活の前に、ギニアと交易をしていたり、トルコの海賊に捕まったりした後の話とは驚きである。ブラジルで農園を営んでいたからこそ、無人島で畑を開拓して作物を生産出来たのだろう。無人島の原始的環境において、あらゆるところから使える物は全て使い、必要な食料や備品を作り出していく様子が、ここまで細やかに描かれているとは知らなかった。これでは冒険というより、生活を語った物語ではないか。イギリスが世界へ進出する時期であり、その開拓精神が好まれたのだろうと思う。2018/01/11

NAO

59
ロビンソンという人物は、話に登場したときから一風変わった印象を与える人物だ。冒険に出て危難に遭うたびにもう二度とこんなことはするまいと反省して神に加護を求めるくせに、危機から脱するやいなや、前言はきれいさっぱりと忘れてまたしても同じことを繰り返す。彼は、経験から教訓を見出すことのできない愚か者なのか、自分からあえて苦行を求めている苦行者なのか。無人島での生活は、最初は全く神を信じることのなかったロビンソンが神を信じ内なる神との対話を深めていくための過程だったような気がする。2016/07/13

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