内容説明
パデュアの富豪の二人の娘は好対照。求婚者に囲まれたビアンカと、だれ一人言い寄る者ない勝ち気なキャタリーナ。そこへ現れた一人の若者、金持ならばどんな女でも結構と言い放ち、奇想天外な方法で「じゃじゃ馬馴らし」に乗り出した…。軽妙な言葉の応酬が冴える、傑作喜劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
63
頑なで強情な娘キャタリーナに求婚したペトルーチオが、彼女に様々な心理的な苦痛を与えて従順な花嫁にするという『じゃじゃ馬馴らし』の過程が主軸として描かれる。食べさせない、眠らせない、買い与えた美しい服を切り裂くなど、やっていることは女性蔑視的なのだが、これを酔っ払いを自分が貴族と信じ込ませるいたずらのための劇中劇として設定した点は興味深い。軽妙な会話ややりとりが多く、全体を明るく陽気な雰囲気が占めているのが特徴的で、副筋でのややこしい変装劇や騙し合いを含めて、その破天荒なエネルギーに若々しさを感じる作品。2018/10/29
おさむ
33
これぞ、ドタバタ喜劇。男女差別が甚だしく、現代ではジェンダー的にNGのような気がしますが、次から次へと登場人物がだまし合う様にかつてのドリフの舞台を思い出しましたw。文豪のシェイクスピアですが、その本領って、実はこういう庶民向けの作品にあるのかもしれません。大場さんの日本語訳も古風ながらこなれており、読みやすかったです。2015/09/18
壱萬弐仟縁
14
1594?年初出(?付)。ピサの紳士、ビアンカの恋人 ルーセンシオ(10頁)曰く、「トラーニオ(召使)、この遊学中は徳行の研究、哲学についてもとりわけ徳による幸福の追求、その分野がぼくの専門」(35頁)。パデュアの富豪 バプティスタは、適当な家庭教師を雇い入れたい(41頁)と、現代では得難い言葉をのたまわれる。ええのぅ。適当であれば二つ返事で伺ってみたい(苦笑)。バプティスタの娘 ビアンカの家庭教師は、音楽に堪能(61頁)。いいなぁ。テーマは男女間の支配・被支配(213頁補注)。対等ではないのか。2013/10/27
あくび虫
8
これはまた、現代的な視点からは、笑っちゃうくらい問題発言の宝庫ですね。特に腹立たしいとか、気分が悪いとかはないですが。三組のカップルのうち、あくまでペトルーチオとケイトは例外的で、女性軽視というよりは「変身」の方に眼目がおかれているから、だと思います。――キスミーケイトは、舞台の外側でまったく反転した出来事が起こってる、というのがおかしみなのですね。ようやく気付いた。2017/09/12
miso soup
7
シェイクスピア月間三作目。人物が多い上に違う人へ変装したりで、展開を追うのが大変だった。現代では炎上しそうな内容だったが、最後のオチは面白かった。2019/12/10