内容説明
航海術や馬術のごとく恋愛にも技術がある。愛の名著か背徳の書か、詩人に名声と流刑をもたらした書は男女に濃やかな知恵を授ける。遊びの恋、戯れの愛、洒脱と雅とを離れず、知的にことをはこぶには…“黄金のローマ”時代の社会や風俗を鏡のごとく映し出す奇書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
58
「愛の師匠」オウィディウスが伝授する古代ローマの恋愛術。女性をものにする方法から始まって、その愛を継続させる方法・男性編、女性編と続きます。その文章には当時のローマに満ちていた「たわむれの愛」を楽しむ気風と、それを皮肉に見る諧謔精神が混ざり合っていて、パクス・ロマーナを享受し恋愛遊戯に勤しむ当時の雰囲気の一端が感じられるよう。またご指南は、男女の恋の戯れとその駆け引きはいつの時代も変わらないと思わせるものも多く、例として挟まれるギリシア神話の挿話も読みごたえたっぷりで、一冊で二度も三度も楽しめる本でした。2019/02/04
パラ野
24
解説を読めば、ウェルギリウスの「農耕詩」などのパロディだそう。散文詩で訳されてたけど、「農耕詩」はどうだったっけ。大して裕福ではない若者に向けた、ギリシャ神話をバンバン引用しての恋愛の技。原文のarsというのが、面白いです。男女間の劇場などでのナンパ方法、いいなと思う人への手紙の送り方、読んでる途中で殴りたくなる部分もあり。サドの「閨房哲学」にも、バンバン引用されてるわ。女に向けた指南もあり。やっぱり殴りたい。2015/06/03
魚京童!
22
技術によって帆と櫂をあやつってこそ、船は海面をすみやかに渡るのであり、技術によって戦車も軽やかに走るのである。技術によって愛もまた支配されねばならない。2016/07/06
viola
17
期待を裏切らない面白さ♪ オウィディウスの書いた恋愛指南書が、面白くないわけがない!地下鉄の中で読んで、思わずにやにや。ギリシャ神話の知識がないと分からない個所多めなので、ちょっと知的な快感もあり、好きな人にはたまらないですねー、これは!2000年以上経っても、人間なんて変わらないもの。女心、結構分かっていると思います。下着姿で君の傍らに立ったら「体中燃え上がらせてくれるね」と叫びたまえ。だが、心配げな口調で、「風邪を引かないように気を付けてね」などとも、言っておくがいい、に爆笑!2012/01/28
angelooo7
12
きっも。キモい。気持ち悪いです。何が気持ち悪いって、これ読みながら頭のなかでシュミレーションしてる自分が居るんですよ。気持ち悪い。さすが詩人といいますか。言葉で人を酔わせる達人ですね。今まで読んできた詩人は、神や自然、家族について「うたう」ことが多かったので、言葉に酔っても清々しかった。「恋愛指南」は、タイトルの通り男女の恋愛について実践的な内容を「語る」わけです。ほんと具体的で下世話な話なのに「すっ」と入ってくるんです。酔って読むのは楽しいですが自分で自分が恥ずかしい(笑)。2015/03/04