出版社内容情報
古代ローマの天成の詩人(前四三―後一八)が,読者を楽しませる物語作者としての手腕を存分に発揮したこの作品には,「エコーとナルキッソス」など変身を主要モチーフとする物語が二百余もふくまれている.それはさながらギリシア・ローマの神話・伝説の一大集成である.ラテン語原典の語り口をみごとに移した絶妙の散文訳.
内容説明
古代ローマの天成の詩人オウィディウスが、ストーリーテラーとしての手腕を存分に発揮したこの作品には、「ナルキッソスとエコー」など変身を主要モチーフとする物語が大小あわせて250もふくまれている。さながらそれはギリシア・ローマの神話と伝説の一大集成である。ラテン語原典の語り口をみごとに移しえた散文訳。
目次
世界の始まり
人間の誕生
四つの時代
巨人族
リュカオン
大洪水
デウカリオンとピュラ
ピュトン
ダプネ
イオ〔ほか〕
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
73
古代ローマの詩人オウィディウスが、神話時代からアウグストゥス皇帝までのつながりを詩にした『変身物語』は、日本の『古事記』のように、アウグストゥスが神の血をひく存在であることを証明する系譜である。そして、語られるエピソードに共通するテーマが「変身」。上巻は、天地の成り立ちから始まりさまざまな神話が語られる。女性に近づくため姿を変えるユピテル。夫の浮気相手を醜い姿に変えてしまうユピテルの妻ユノー。神の愛を拒むために樹木に姿を変える乙女。恋人を悼んで花に変える神。神話で語られる変身は、理由もパターンも様々だ。2019/01/06
イプシロン
32
原典はヘクサメトロスによる韻文叙事詩。翻訳は散文であるが、長編物語として読むなら、小説の見本のなかの見本といって過言はない、完成度の高さをもつ傑作だ。なにしろまず面白い。読んでいて楽しい。そして、所々に挟まれている比喩表現の巧みさにうっとりできる。典拠は言うまでもなくギリシャ神話だが、そこにある矛盾やつじつまの合わない部分を、なるべく合理的に翻案するローマ人気質がまた心憎い。しかも「変身」というモチーフを軸として物語が編まれている妙。小説かくあるべしという感慨に打たれながら、その裏でラテン語表記による2021/12/20
加納恭史
20
不思議と心がしっとりする逸話が多い。アポロドースの神統記は神々と系譜と男神と女神の結婚の顛末ばかり。またローマ時代だから神々の呼び名も違って少しとまどう。カモドスの大蛇殺しは最もポピラーなものの一つ。父アゲノルの行方の分からない娘を探すように言われたカドモスは太古の森の真ん中で洞窟に出会った。洞窟の奥には軍神マルスの大蛇が隠れ住んでいた。金色のうろこと目は火炎を噴き、全身が毒でふくれ上がっている。三枚の舌と歯も三列。彼の部下たちは無残に殺されている。彼は岩を投げたが撥ね付けられた。投げ槍がとどめを差した。2025/04/26
fseigojp
20
ギリシャ神話を完全にローマ神話に変換しているところがすごい ギリシャ・ローマの神様対照表はどこかで入手してから読むこと アエネーイスへの助走2017/06/02
ヤギ郎
15
ギリシャ神話の有名な物語が詰まった一冊。一つ一つの物語が短いので読みやすい。しかし、キャラクターが多い。家系図が欲しかったなー2015/11/23
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