出版社内容情報
古代ギリシアの代表的抒情詩人サッポオ,アルクマアン,アナクレオーン,シモーニデース等の代表作をはじめ,ローマのホラーティウスやエジプトの詩に,関連する中世・近代の詩を収めた抒情詩の集成.ヨーロッパの抒情詩の流れをふまえて選ばれた名作を鏤骨の名訳で贈るギリシア・ローマ抒情詩集の決定版. (解説 久保正彰)
内容説明
サッポオをはじめ、ギリシア・ローマ抒情詩の名作を集成。鏤骨の名訳で贈る決定版。
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感想・レビュー
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猫丸にゃん太
33
地中海の夕暮れの、水面が紅く染まる頃、華の都の宮廷で、宴の幕が上げられた。人生は一夜の夢、光のように過ぎて行く、これが今宵の夢ならば、望む様に踊るべし。漆黒の闇に光る、満天の星のように、静寂の夢の中で、憩いの音を聴くのもいい。寄っては返すさざ波の、音を聴くのに飽きたなら、その麗しき黒髪を、御櫛でやさしく梳かすべし。恋せよ乙女、黒髪の、ほのかに香る花ならば、風に揺られて踊るまに、甘い一夜の夢をみる。踊り疲れて休むまに、瞳がゆっくり閉じられて、口に笑みを称えると、浅き夢に夢をみる。2015/03/20
スプーン
27
古代文学・詩の極み。少なき言葉に込められた真理の豊饒さ。ギリシア・ローマ時代から変わらぬ人の営み。ただ一点の弱みは輪廻を解していなきこと。2018/01/21
ヴェルナーの日記
12
花冠(ステパノス)とは、選編者が秀歌を自らの主観に基づいて選んだ詩選集のこと。日本で言えば万葉集や古今和歌集、百人一首等にあたるだろうか。本書は呉茂一氏によるギリシャ・ラテン系の詩を編んだものである。元の詩自体が古いためか、訳出も文語体で、しかも旧仮名遣いということから、現代人の自分にとって、すこぶる読みづらい。私観ではあるが、詩はやはりリズムよく読めることが大切だと思う。よって格式高い旧仮名遣いの文語調の散文詩(五・七調の短歌などとは違う)は、いただけないと感じるのは自分だけであろうか?2013/12/21
tieckP(ティークP)
6
日本における西洋古典学者の先駆者の一人である呉氏の選訳詩集。目次からひらがなで面食らうけれど、日本語に対するこだわりが詩を読むほどに伝わることで、それはむしろ長所に転じている(考えれば、知り合いにもひらがなを巧みに使う語学のセンスに優れた人が何人かいるから、そこにも関連があるのかもしれない)。同じ詩についての別訳を本人が載せているというのもなかなか斬新ではないかな。やや古い表現を多用しているので、意味が取れないところもあったけど、音を楽しめば良いと開き直れば、気持ちが良かった。碑文と抒情詩が出色。2014/11/26
柏もち
5
「ろーま抒情詩人」より前に書かれている詩は短すぎるのが多くて正直あんまり面白くなかった。勉強不足だからか私には良さがよく分からない(´・_・`)印象に残ったのは「ぷろーぺるてぃうす」のところ。とくに最後の「二・一五」が気に入った。「生きてもつねにあの女(ひと)のもの、死んでもついにあの女(ひと)のもの」2016/02/20