出版社内容情報
生れたその日に揺籠をぬけでてまんまと五十頭もの牛を盗みだすヘルメース――.ホメーロスの名を冠して伝えられる神々を唱った讃歌諸篇から,このヘルメース神話ほか,豊穣神デーメーテール,ゼウスの息子アポローン,愛の女神アプロディーテーと,それぞれの神話を物語る四篇を集めた.明るくのびやかなギリシャ神話の小品集.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mahiro
12
再読、デーメテール、アポローン、ヘルメース、アプロディーティーへの讃歌。ギリシャ神話が好きな人にはお馴染みのエピソードが述べられているが、遠矢を射るアポローンとかアルゴス殺しのヘルメースとかそれぞれの神に冠せられる言葉など古めかしい言い回しの和訳が神々を讃えるのにふさわしく心地良い。好きなのはヘルメースへの讃歌。ヘルメース神はギリシャローマの壺絵や浮き彫りを見ても独特の姿ですぐわかる。北杜夫氏が若い頃この讃歌を下敷きに『幼いメルクリウス』という短編を書かれていたのを思い出す。2020/02/18
ヘラジカ
9
『ホメーロス讃歌』から主要な四つの詩を抜き出したものであるが、やはりこれだけ読んでしまうと他の讃歌も全て読みたくなる。相も変わらずギリシャ神話の神々は個性豊かで感情的なのが面白い。母としての慈愛に溢れたデメテル、凛々しい青年神ボイポス・アポロン、オリュンポスの道化師ヘルメイアス、恋を司りながら自ら恋に溺れるアプロディ―テ。これだけ独自性ある面々が揃えばギリシャ神話全体魅力ある物語として輝くのは当然なのだ。個人的にはヘルメイアスの「アルゴス殺し」の話をもっと詳しく知りたいと思った。残存していないのが残念。2012/10/07
Riopapa
7
デーメーテール、アポローン、ヘルメース、アプロディーテーの讃歌。ハーデスにさらわれた娘ペルセポネーを探すデーメーテール。ヘルメースは生まれたばかりでアポローンをだまそうとする。人間の男と恋をし、アエネーイスを生むアプロディーテー。2015/10/04
午後
3
ホメロス風のイオニア方言を基にしたヘクサメトロスの韻律で伝えられる『ホメーロス讃歌』の中の主だったもの、デーメーテール、アポローン、ヘルメース、アプロディーテーの物語が語られる。デーメーテールの讃歌の抒情的な文体や、ヘルメースのトリックスターぶりが遺憾なく発揮された誕生譚等、ギリシア神話の良さが詰まっている。2022/08/02
Sasami
3
ギリシャの神様の、人間くささと威圧感がうまく同居している感じが好き。それでいいのか、と突っ込みたいところも多々ありつつ、絶対に逆らえない迫力があるからすごい。他の讃歌も読んでみたいが・・・叶うだろうか。2013/04/04