出版社内容情報
中国文学の長い伝統の中心に屹立する詞華集『文選(もんぜん)』。紀元前二世紀から八百年に及ぶ詩文の精華は、中国文学の豊饒の源となり、日本文学にも広く浸透した。彫琢を究めたその詩篇の全てを深く読み込んだ画期的な訳註。(全六冊)
内容説明
中国文学の長い伝統の中心に屹立する詞華集『文選(もんぜん)』。紀元前二世紀から約八百年に及ぶ詩文の精華は、以降の中国文学の豊饒の源となり、万葉の昔から日本文学にも広く浸透した。彫琢を極めたその詩篇の全てを深く読み込み、精確な訳注を加える。(全六冊)
目次
巻19 補亡、述徳、勧励(補亡;述徳;勧励)
巻20 献詩、公讌、祖餞(献詩;公讌;祖餞)
巻21 詠史、百一、遊仙(詠史)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
103
中国の詩のアンソロジー。紀元前から6世紀までの詩が収められている。ここに収録されている作品は、日本の文学にも大きな影響を与えたそうだ。現代の日本人が考える詩とは異なった作品が多い。政治的な内容を持つものが多くて、時の権力者を褒め称える詩もある。そのような詩を読むときは忍耐が必要だったが、格調高い言葉の美しさは味わうことができた。漢詩特有の簡潔で引き締まった表現を読むと、漢字の持つ美と映像を喚起する力を実感できる。友との別れを歌った祖餞は現代人にも理解しやすい。(続きます)2018/02/26
KAZOO
99
岩波文庫からまた新しい本が出てきました。文選という中国古代の文学作品のアンソロジーで全6巻になるようです。楽しみです。この巻では「詩編」ということで中国の詩が収められています。作者は昔習った中国詩の作者はほとんど見当たらなく、内容も抒情的なものよりも歴史的な感じのものが多い気がしました。日本でも平安時代から「白氏文集」と並んで必読の書であったようです。永井荷風も愛読者であったそうです。2018/05/25
しゅてふぁん
52
先秦(紀元前二世紀)から南朝・梁の時代に至る文学作品を収めた『文選』は六世紀の前半に昭明太子蕭統によって編まれたとされている。その「詩篇」の部を全作品収めたシリーズの第一巻。謝霊運、顔延子、王粲など名高い詩人の作品が目を惹く。その中でも一押しは曹植。さすが唐以前の最高の詩人と言われるだけあって、彼の作品は詩句が美しく心に残る。読んだ後にじわじわと余韻に浸ることができる、そんな作品だった。「躬を責むる詩」は圧巻だったし「応氏を送る詩二首」は美しかった。2021/06/13
かふ
20
詩の発生を『三国志』の魏の武帝(曹操)の子曹丕・曹植の兄弟間の権力争いに詠む。政治的理知を持っていたのが曹丕であり、そうした政治力よりも感情が激しかったのが曹植であって、二人は権力闘争の中で敵対していく。曹植は兄の権力者の反乱分子ということで処刑されるのが当たり前だったのに母の温情によって一度目は救われる。そのことによって兄の曹丕は近づけたくなかったのだが、そういうわけにもいかずに曹植を招集することもあったのだ。その時に詩によって忠誠心と天命を言葉によって相手を納得させなければならなかった。2024/06/19
佐藤丈宗
5
中国古典文学アンソロジーの金字塔『文選』の詩篇を文庫で全訳というだけで壮挙。六人がかりで訳を行っており、訳注も豊富。この時代の詩文が経書を中心とした古典籍・故事を源泉に持つことがよくわかる。五経『詩経』の流れをうけつつ、後の唐詩とも違った趣きを感じられる。2018/02/19