出版社内容情報
全篇ことごとく神仙,狐,鬼,化け物,不思議な人間に関する話.中国・清初の作家蒲松齢(1640-1715)が民間伝承から取材,豊かな空想力と古典籍の教養を駆使した巧みな構成で,怪異の世界と人間の世界を交錯させながら写実的な小説にまさる「人間性」を見事に表現した中国怪異小説の傑作.今回,92篇を精選して新訳.(全2冊)
内容説明
全篇ことごとく神仙、狐、鬼、化け物、不思議な人間に関する話。中国・清初の作家蒲松齢(1640‐1715)が民間伝承から取材、豊かな空想力と古典籍の教養を駆使した巧みな構成で、怪異の世界と人間の世界を交錯させながら写実的な小説にまさる「人間性」を見事に表現した中国怪異小説の傑作。今回、92篇を精選して新訳。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
71
中国・清代の怪異小説集全491篇中の92篇を訳したもの。質量ともに充実しているのが、旧家の幽霊屋敷で狐の結婚式に臨席する『狐嫁女』や幽鬼と狐の美女が青年の寵を競う『蓮香』など冥界や幽界、妖との交情・交流を描いた艶やかで情感豊かな物語たちですが、ここに耳の中から小人が這い出してきたといった奇聞や作者の生きた明末~清初の過渡期の時代を背景にした『野狗』などの話が織り込まれたりして飽きることがありません。科挙の郷試に何度も落ちた男が、自分が死んだことにも気付かず試験を受けて合格する『葉生』の業の深さが大変好き。2022/12/22
やいっち
41
似たような趣向の掌編が多い印象を受けた。比べるのは、やや無理があるのを承知で言えば、ふと、福永武彦編訳の『今昔物語』を思い浮かべてしまった。福永訳の力か、平安時代の闇を浮かび上がらせてくれて興味深かったからか、どうしても面白さの点では、福永武彦編訳の『今昔物語』に軍配を上げてしまう。話の要になるのは、美女。そんな稀有な女の色香に男は迷ってしまう。ただ、男が発情すると、目の前の女はみんな絶世の美女に見えてしまうという言い方も可能かなとも思ったり。2019/04/07
藤月はな(灯れ松明の火)
36
「(纏足した足を包んでいる)靴を抓む」などエロティックな描写があり、陰と陽などの陰陽道や本草系を事態の見極めに使う所や黄泉の国での裁判が現世にも適応できるという点は中国文学特有であり、興味深いです。2012/10/21
かわうそ
25
幽霊や神仙やキツネなんかがどんどん出てきて、作品ごとに多少ルールによる縛りはあるものの、普通の登場人物同様自由に動き回る。ちょっと似たパターンが多いかなと思いつつ、ユーモラスだったりロマンチックだったりハッピーエンドも多くて楽しく読めました。2019/07/21
九鳥
23
君子は怪力乱神を語らないらしいけど、本当は好きだからこそあえて戒めるのだな、と思った。狐や神仙が出てくる怪異譚を集めた説話集。説教くさくもなく、ただこういうことがあったのだ、と淡々と描かれているので楽しい。毎日布団の中で好きなところまで読んでから眠る日々だったが、とうとう読み終わってしまった。けどまだ下巻が残っている。2009/05/12