岩波文庫
唐宋伝奇集〈下〉杜子春他39篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003203828
  • NDC分類 923.4
  • Cコード C0197

出版社内容情報

唐宋伝奇の源流は六朝時代の怪異譚にある.唐代になると,意識的に奇異なものを追求し修辞にも凝って,ここに文学と呼ぶにふさわしい創作ジャンルが成立する.その面白さは,幻想を追っているようで実は深く人間の本質をついているところにあり,そうした佳篇と,日本文学に影響を与えた作品をえらび収めた.

内容説明

この『唐宋伝奇集』は、中国でいう「古小説」のうち、唐、宋の、いわゆる「伝奇」(伝奇物語)から選択して翻訳し、注をつけたものである。この下巻には、唐代中期から唐代末期、五代を経て宋代までの代表的な作品を選んだ。

目次

杜子春
杵、燭台、水桶、そして釜―元無有
冥界からもどった女―斉饒州
同宿の客―辛公平上仙
魚服記―薛偉
赤い縄と月下の老人―定婚店
則天武后の宝物―蘇無名
竜女の詩会―許漢陽
飛天夜叉―薛淙
白蛇の怪―李黄
碁をうつ嫁と姑―王積薪
玻璃の瓶子―胡媚児
女将とろば―板橋三娘子
山の奥の実家―申屠澄
蒼い鶴―戸部令史妻
巨獣―安南猟者〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

55
本書には「杜子春」や「魚服記」「李徴が虎に変身した話」「女将とろば」と芥川や太宰、中島敦に鏡花、雨月と数多の文人が参考にした話が多数収録されている。それぞれを参考にしながら、本邦の作家が如何様に料理したか読み比べるのも楽しみの一つ。特に「杜子春」とかは読み終えた時の印象が全然違うし。その他にも印度の魔術を思わせる「嘉興の綱渡り」や落語を思い出させる「麺をとかす虫」ピカレスクを思わせる「怪盗我来也」とどの話もひたすら楽しいものばかり。伝奇というだけでは括れない、この時代の中国の奥深さを感じさせられるなあ。2019/08/14

しゅてふぁん

50
下巻はどれも短い話が40編。赤い糸ならぬ‘赤い縄’で男女の足を繋ぐ『定婚店』、まるで千夜一夜物語の世界ような『女将とろば』、中国版シンデレラ『葉限』等々どれも御伽噺みたいで面白かった。お気に入りはメルヘン的な幻想譚『つばめの国の冒険』。この本は訳注が多い(しかも字が細かい)のが特徴で、特に手厚かったのが『李徴が虎に変身した話』。本文よりも訳注の方が頁数が多かった!中島敦、上田秋成、森鴎外など数々の文豪に影響を与えた物語が収録されていて、長く親しまれている作品たちなんだなと思った。2021/12/02

NORI

20
上巻にあった「長恨歌物語」読めたからもう良いかな~と思いつつ、結局下巻も読んだ。 なんだろう。やっぱり直訳っぽい感じで、微妙に読みづらい。原文に書かれている要素を余すことなく盛り込もうとして、その分日本語として不自然な表現になっている感じ? ただ「みかんの中の楽しさ」を確認できたのは良かった。これの類話を「伊豆の昔話」として、絵本で子供と読んだことあり。 また、シンデレラと同じプロットの話もあり。中国では9世紀には成立しており、どうやらこちらがシンデレラの"元ネタ"に当たる模様。2024/05/11

屋根裏部屋のふくろう🦉

10
『杜子春』は子供の頃に読んだっけ。小学生か中学生の頃の国語の教科書に載っていた記憶があるが、どうも話の内容が違っている。教科書では自分の母親が今にも殺されると言う場面で声を発したが、こちらでは赤ん坊の足を持って叩きつけようとする人を見て声を発したとなっている。まあ本質は変わらないから置き換えられたのかもしれない。『李徴が虎に変身した話』はどこかで聞いたことがあると思ったが、中島敦の『山月記』が似たような話だった。我々の住む現在界から異界が見えないだけで、異界は常に現在界と表裏なのかな。2019/04/05

qoop

9
上巻と比べ一編ごとが短い作品を集めている。上巻の読み応えを期待していたせいか、少々集中力に欠け、読み終わるまで時間がかかってしまった。〈杜子春〉〈山月記〉の原話(の系統)も興味深かったが、〈怪盗我来也〉の優れたエンタメ性には感心した。あらすじを物語化してテーマ性を磨いたり、あるいは更に複雑化させたりと、後代への影響の大きさが分かる。宋代の作品も少々含まれるが、通読して差は感じられなかった。2020/06/11

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