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岩波文庫
寒い夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 500p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003202838
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0197

出版社内容情報

現代中国を代表する作家・巴金(一九〇四-二〇〇五)の到達点を示す長編。感情のせめぎ合いが抑制された円熟の筆致で描かれる。

内容説明

現代中国を代表する作家・巴金(1904‐2005)。その到達点を示す長編小説。病に冒され、ゆきづまった生活を送る無力なインテリ。その妻と母親の間には嫁姑の対立がある。誰が悪いわけでもない。だが各人にはどうすることもできない自我とこだわりがある。そこから生まれてしまう感情のせめぎ合い。苛烈な人生のドラマが胸を打つ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

83
日中戦争下の中国で嫁姑の価値観の違いなどの争いによって心身共に食い潰されてしまったインテリ男を描いた作品。現代劇にも通用できそうな普遍的な家庭の「誰も悪くはないのは分かっている。だけど、他に抑えられなかったのか/譲歩できなかったのか/自分の気持ちを伝えても良かったのでは?」と思ってしまうようなギスギスした状況が客観的に淡々に描かれているのが、逆に辛い。特に樹生が出て行ってから喫茶店で誰もいない席に樹生の好きなミルクコーヒーを頼む文宣の姿には泣けてくる。でも文宣のお母さんは息子に依存しすぎで、これはキツいよ2017/04/17

やいっち

32
いい加減、読んでいてうんざりする。嫁と姑が仲が悪い。その間でオロオロする夫。嫁は外交的で積極的、前向き。それが姑には浮気っぽくて、息子には冷たいと映る。息子がいるが、恐らく姑の影響下にある。嫁には家に居場所がない。日本軍が大陸に侵攻し、ドンドン彼らの村にも迫ってくる。逃げるべきだろうが、そうはいかない。母(姑)と嫁の意見が対立しているからだ。2018/08/13

ラウリスタ~

20
中国の現代小説を読むのはほとんど初めて。舞台は日中戦争中の中国、日本軍はどこどこまでやってきた、次はこの街か、と戦々恐々とする人々。そんな中主人公は、妻と母との間で板挟みになり、肺病にもかかり、憔悴していく。30代半ばにして今にも死にそうな主人公とは裏腹に、自由と活気に満ち満ちた綺麗な奥さん、戦場となりそうなこの地と、夫を捨てて疎開するのか、すわ二人の運命は。これを読んでると、中国人が抗日戦争ドラマで盛り上がる理由がよくわかる、と言ってもこの小説では一人の日本人も出てこないのだが。2016/05/05

イシザル

13
内容はほぼ「渡る世間は鬼ばかり」。ほぼ嫁と母の喧嘩に夫の愚痴。でもこのどうでもいい無駄話は、カタルシスのない無情で侘び錆びなラストの前フリだ。細工は流々仕上げを御覧じろとはこのことだ。 2020/06/30

Tomoko.H

13
貧困、病気、嫁姑の不和…どれもどうにもならず、またその他の何に対しても将来に何の希望ももてない状態のただ優しいだけのへなちょこ亭主。数少ない友達も逝ってしまい、嫁姑自身も、たぶん息子も全員が不幸。終始やるせなさで貫かれた小説だ。老舎の『駱駝祥子』にしてもイーユンリーの『さすらう者たち』にしても、中国社会の底辺の人々を描いたものは、救いがない。2018/02/24

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