出版社内容情報
蔡太閤の金銀珠玉を奪ったことがばれ,中央から腕利きの警吏が人数を引き連れてやってきた.危険を知らされた晁蓋・呉用らは難を避け,追っ手の官軍を思うがままに翻弄しつつ梁山泊に逃れる.(巻の12-巻の22)
内容説明
蔡太閤の誕生祝いの金銀珠玉を奪ったことがばれ、腕利きの警吏が人数を引き連れてやってきた。幸い、その応対をした地方官が宋江。危険を知らされた晁蓋・呉用・公孫勝らは難を避け、追っ手の官軍を思うままに翻弄しつつ梁山泊に向かう。巻の十二から巻の二十二を訳した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
17
荒唐無稽とも言える豪傑たちの活躍の裏には、法によって秩序でがんじがらめに組み上げられた社会というものがしっかりと描かれていて、そのリアリティの上に描かれるファンタジーだからとても説得力があって面白いのだと思う。正直、読む前はすぐ飽きるかなと思いながら読みはじめたのだけど、多くの豪傑たちのわかりやすいエピソードや、物語も本筋が進行していて、ついつい次も次もと読んでしまう。豪傑たちはいずれ国賊となる人たちなので、凄腕剣士なのに簡単に山賊に転身したり、この人最初から泥棒じゃないのとか、そういう行儀の悪さもいい。2020/10/18
ナハチガル
10
原文併読。一年くらいかかった気がする。林冲が梁山泊に流れてきてから、宋江が柴进にかくまわれるまで。統計を取ったわけではないが、出現頻度の一番高い四字成語は「仗义疏财」(義を重んじ金銭に頓着しない)だと思う。中国語検定では必須語で、いつ使うんだろうと思っていたが、つまり伝統的な中国語学習は、古典文学が基礎になっていることを示す例ではないかと思う。ともあれ翻訳は格調高く、お見事の一言。「寄らば斬るぞ、どけば許す」(当吾者死,避吾者生 )なんて、ちょっと思いつかない。剣豪小説の元でもあるのでしょうか。B+。2022/03/03
qoop
7
本作中、個人的ビジュアルベスト3の三人目で最も惹かれる青面獣楊志。志を立てながら運に恵まれず身を陥す。自ら罪を犯す晁蓋、魔に魅入られたとしか云い様がない宋江と比べ、本巻の登場人物の中でも思い入れひとしお。自棄になって無銭飲食する件も含めて。それにしても宋江の人物像が今ひとつピンと来ない。豪傑たちの首領格らしき大人ぶりを見せたかと思うと、犯した罪が妾殺しとは。豪傑にしては小市民的な臭いがする。まぁそれを云うなら晁蓋だっていきなり強盗って勢い良過ぎじゃないか。そう云うものとして読むべきなのだろうな、と。2020/03/08
屋根裏部屋のふくろう🦉
6
林冲を中心に話が進む。途中で合流した仲間は晁蓋(ちょうがい)を頭に11人が梁山泊のメンバーになった。十一豪族の席次も決まる。「巻の21」に出てくるオババは実に遣り手婆婆。なかなかの交渉上手というか強かというか、これこそ実に大陸ならではの産物と言える。第2巻の終盤に女性登場。 「花の容(かんばせ)は嬢娜(じょうだ)として、玉の体は娉婷(へいてい)たり。」何かが起きそうな気配。面白くなってきた。2020/04/24
syaori
5
「不義の財だから奪ってしまいましょう」「OK」みたいな流れが多くて、好漢ってどんな意味だったかしらと調べてしまいました。晁蓋は呉先生にいろいろ任せすぎだと思ったのと、あんなに山賊になるのは嫌だと言っていた楊志があっさり自分の意見を翻したのに転落早いよと思いました。そんななかでも柴の旦那様は宋江を相手に安定のおもてなしをしていてくださって安心しました。2015/10/12