出版社内容情報
杜甫は楽府・律詩・絶句等あらゆる詩形を駆使して常に詩格厳正,句法変化に富み,古来より李白と並び李杜と称される中国詩壇の第一人者である.本書は「唐宋詩醇」によってその詩を厳選,成立年代順に集成したもの.鈴木虎雄氏が「国訳漢文大成」において完成した杜甫全詩集の訳解をもとに門弟諸氏の協力を得て刊行.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
綾野理瀬(Ayano Lise)
5
いわずと知れた中国の詩聖、杜甫の詩集。訳文が古いけれど、そこがいい。最近の「読みやすい」文体の訳では、千年以上前の詩人の言葉がよみがえることはないだろう(確かに彼は唐時代の俗語も使ってはいるけれど)。白眉は「兵車行」。女の子を生めば嫁にやれるけれど、男の子を生めば戦死して草葉の陰に白骨となる。この時代を痛烈に諷する詩の数々は、のちの白楽天にもつながる。蘇軾、白楽天、杜甫が今のところ好き。「浮生六記」の芸(うん)は、李白をよしとしたけれど、彼は不羈奔放、流謫の詩仙であるのはわかるが、私は杜甫を推す。2017/08/29
dexter4620
0
漢詩を読むのは初めてなので、著名かつ詩聖と呼ばれる杜甫から。震災の被害を受けた富山の古書店にて偶然出会い購入。五言絶句や七言律詩なとわ幅広い形式の詩が登場し、当時の社会的情勢が描写されています。また、杜甫の心情が語られているのも特徴で、それを美しい五言や七言にまとめている点には感銘を受けずにいられない、そんな第一巻でした。2024/06/04