出版社内容情報
文豪・荷風と遭遇した同時代人の回想50数篇を精選、巨人の風貌を探る。荷風文学への道案内とする。
内容説明
明治・大正・昭和にわたる文豪、永井荷風。近代文学に深い刻印を残した荷風は、時代ごと、また場所ごとに、実に様々な面影を残した人でもある。荷風と遭遇し、遠くから荷風を慕った同時代人の回想五九篇を選んだ。荷風と近代を歩くための、最良の道案内。
目次
1(青春物語(抄)(谷崎潤一郎)
荷風追憶(正宗白鳥)
ふたりの会葬者(久保田万太郎) ほか)
2(浅草の荷風(高見順)
その頃の荷風先生(菅原明朗)
浅草ばなし(小川丈夫) ほか)
3(荷風文学の頂点(佐藤春夫)
遠く仰いで来た大詩人(川端康成)
金ぴかの一日(室生犀星) ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
荷風の人となりやその作品について様々な有名人によるエッセイ集です。全59編が収められていて荷風の人物像がおぼろげながら明確になってきます。私も結構荷風の作品を読んでいるのですが市川菅野に幼少のころ住んでいたので父親が見た晩年の印象しか残っていませんでした。このような作家というのは今ではイメージできないのでしょうね。2020/03/31
やいっち
71
荷風が亡くなったのは、1959年(昭和34年)4月30日。つまり今日。もう60年以上。書店でも彼の本はよく見かける。今も読まれている人気作家であり続けている。直木賞や芥川賞受賞者でも、ちょっと前になるとすっかり忘れられている作家もいる中で、何故荷風は読まれるのだろう。本書は追想ということで、荷風を多少なりとも知る人たちが書いたもの。巨象を凡人が…じゃなく、それなりの著名人ばかりだ…荷風の評価がそれぞれで随分と違う。2020/04/30
やいっち
51
多種多彩な書き手たちによる荷風追想、荷風賛歌、あるいは作家ならではの厳しい評価とか。 明治の世を生きた作家たちは、漢文を幼少の頃から学んでいる。繰り返し繰り返し読んで、聴いて体に沁み込ませる。作家の素養が欧文のみならず、漢文なのだ。2025/03/19
壱萬参仟縁
27
邦枝完二「偏奇館去来」で真の文明人。礼節を識るべき。便利であり手軽であることに、何の権威があろう(211頁)。これは、コンビニ社会日本に今でも色褪せない。むしろ精彩を放つ。宇野浩二「永井荷風の印象」で、文壇に感動をあたえたのは、明治31年(1898年)に発行された、島崎藤村の『破戒』、明治39年(1906年)ごろ、『新小説』に出た、田山花袋の「蒲団」、明治42年(1909年)、帰朝したばかりの、永井荷風が、小説を発表した時、明治43年(1910年)の10月に、谷崎潤一郎が「少年」を発表した時(323頁)。2021/01/24
やいっち
8
多種多彩な書き手たちによる荷風追想、荷風賛歌、あるいは作家ならではの厳しい評価とか。 明治の世を生きた作家たちは、漢文を幼少の頃から学んでいる。繰り返し繰り返し読んで、聴いて体に沁み込ませる。作家の素養が欧文のみならず、漢文なのだ。2025/03/19