岩波文庫
ぷえるとりこ日記

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  • サイズ A6判/ページ数 238p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003118016
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

NYの女子大生が米国準州へ調査旅行に。留学生崎子と団長ジュリアの日記が映すアメリカ人、日独メキシコ人、島民たちの反応は?漁村の家族・独立党の面々・未来の大統領候補と噂の青年…。乾いた笑いで人種感覚を突く青春小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

73
社会勉強としてプエルトリコへ来た女学生達。昼はボランティア活動に勤しみながら夜になれば、彼女達の頭の中は如何に異国での魅力的に振る舞い、男性の視線を集め、アバンチュールを楽しむかで一杯。そんな中、崎子はプエルトリコの大統領候補に目される学生、ホセにプロポーズされるが、その理由は意外なものだった。日誌に書かれる仲良しに見える女子のマウンティングに見覚えがありすぎて乾いた笑いしか出ない。特にジュリアのリベラルを気取りながら実は人種差別的で目先の事しか考えない悪い意味での他力本願なのがちゃんちゃら、可笑しい2017/09/22

kawa

32
1960年頃、アメリカの大学に留学していた崎子は、社会科学調査のためにカリブ海に浮かぶアメリカ領プエルトリコに仲間の学生39名と赴く。その道中を彼女と調査団の委員長となった白人女子学生のジュリアの日記を交互に綴る形式で物語が進行。おそらく、今もそう変わらない人種問題やプエルトリコ(今も独立できていない)の貧困が、若い女性の眼から描かれ興味深く面白い。一気読み。2023/02/26

マッキー

15
タイトルにひかれて購入。崎子から見た世界とジュリアから見た世界が日記風に交互につづられる。異文化同士のぶつかり、人種差別、国の歴史的背景・・・。そういうのが絡み合ってつい建前を忘れて本音が出たり、些細な言葉の表現に傷ついたり・・・。読みやすかったし笑えるシーンも多かった。2016/08/07

更夜

12
図書館で何気なく手にとった本。1959年から1960年にかけて、実際、有吉佐和子さんがアメリカの大学に留学した経験が元になっているそうですが、アメリカお嬢様女子大のプエルトリコ視察旅行を描きます。アメリカ人の日記と日本人留学生の日記が交互に出て来ますが、本音と建て前の使い分けを裏から描くのは有吉佐和子さんお得意の技です。根強い人種差別や民族意識、金持のスノッブさなどがリアルに描かれていて、読んでいて、納得半分、居心地悪さ半分。留学に単に憧れていた若い頃に読んでおけばよかったですね。2015/08/01

ハヤシマ

11
人種差別の心理的連鎖を描いた「非色」、僻地の問題を扱った「私は忘れない」などに通じる有吉文学のテーマがここにも流れている。大きな社会問題を扱って、しかも小説として抜群に面白いから有吉作品は侮れない。個人的ヒューマニズムに訴える安易な決着にせず、個人の力では大きすぎて抗えない葛藤と苦悩を抱える人物を描きだしており、深くて重い余韻を残してくれた。アメリカ人女学生の一人称視点が、よくここまでなりきれるものだと感心。日本人や現地人を完全に見下しているのに、デートに誘われなくて嫉妬している様子など有吉さんらしい。2013/04/23

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