感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dowalf
12
下巻でも、物語の進行をそっちのけに(笑)ますます白熱する食談義!スープは家で骨からとり、お菓子も全部手作りで!ここまで家庭料理の重要さを強調されては、料理しないわけにはいかない気持ちになりました。手間暇を惜しまず、家族の心と体に良いものだけを作りたい…明治も現代も変わらぬ食の大切さをひたすら熱く説いてくれる、「滋養のある」小説でした。2015/02/20
serene
10
食パンの製法が興味深かった。 今みたいにドライ・イーストなんて売ってないものね。 そして、今みたいに冷凍パイシートなんて売ってない。 お登和嬢が小山の妻君に手順を説明しながらパイ生地をこしらえる箇所には感動さえ覚える。 彼女が料理上手なのは、新しいことに挑戦したいとか腕を高めたいとかそんなことではなく、仕事が几帳面で丁寧で、何より食べる人への気配りと思いやり、人の心と体の健康に対する責任を担っているという覚悟があるからなのだなとよくわかる。 2013/06/03
みつき
9
面白かったです~!!食育ブームの先駆けともいうべきこの小説は、健康的な食生活のすすめだけでなく子供の家庭教育や、夫婦の問題まで言及されており、作者の村井弦斎先生は、思いのたけを中川さんを通してぶちまけているようです。中川さんは理屈っぽい人ですが恥ずかしがらず自分はモテない発言をするところが人間らしくて素敵でした。若紳士との問答も見ものですし、最後の結末も中川さんらしく淡々としていて笑えました。食べる事や料理をすることが大好きな方、明治時代の生活の雰囲気に浸りたいという方にはおすすめです!!2012/08/02
spica015
6
上巻に拍車をかけ、一つの食材について尋ねれば、あれもこれもとメニューや調理法を淀みなく語り出す中川と妹・お登和さんはさしずめ歩くレシピサイトと言ったところか。恐らく和食については既知のことという前提か、西洋料理が中心であるがどれも美味しそう。本筋の大原とお登和さんとの恋の行方は、許嫁のお代さんとの縁談がどんどん進んでしまい、先が気になって仕方なかっただけに、最後は尻切れとんぼになってしまったのが残念。でも本当に面白いので、朝ドラ化して欲しいなと密かに願っている。付録の米料理100種に挑戦したい。2018/08/19
壱萬参仟縁
5
巻末付録も充実して、当時のレシピも参考になる。病人食まで解説されているので、患った時に必要な本でもあろう。そして、現代の食育の古典という位置づけもなされている(解説2より)。鮎料理というと、上田市の千曲川のツケバ料理を思い出す。ここでは玉川や相模川が登場(24ページ)。皮の黄色や脂身の辺りが鮎の醍醐味か。230ページ~の看病料理も参考にしたい。ただ当時の病院食は腐った卵とか書いてあるので、病人の人権は侵害されていたのか。見舞いのカステラも劣悪というので(233ページ)、治る病も治らない気にさせられるなぁ。2013/01/11
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