出版社内容情報
イソップ,グリム,アンデルセンの日本初紹介の作品をはじめ,日本の児童文学に新しいページを開いた『赤い鳥』の傑作など児童文学の名作を精選.上巻には,巌谷小波「こがね丸」,小川未明「赤い船」等十七篇,下巻には,芥川竜之介「蜘蛛の糸」,宮沢賢治「オツベルと象」,新美南吉「牛をつないだ椿の木」等二一篇を収める.
内容説明
明治維新にはじまる文明開化の時代、西欧の文学に触れた人々の中から、新たな児童文学の作品がうみだされはじめ、児童読物の世界は一変した。上巻には、イソップ、グリム、アンデルセンの日本初紹介の作品をはじめ、巌谷小波「こがね丸」、竹久夢二「春坊」、小川未明「赤い船」、鈴木三重吉「デイモンとピシアス」など17篇を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
16
明治の文豪たちが書いた、若しくは訳した童話や児童文学で、オムニバスなので、気軽に楽しく読めました。しかも、明治の文体なので、福沢諭吉のイソップ訳が笑えた。「アリとキリギリス」が「蟻とイナゴの事」になり、「北風と太陽」が「風と日輪と旅人との事」となり、知らない話もあり、漱石の弟子の三重吉も執筆していて良い本だなと思いました。よpんでよかったです。2016/05/26
アリス
15
2024年読み始め! 有名な人が書き残した児童文学を読んだ。 やはり、イギリスの児童文学から影響を受けた人が多いと感じた。2024/01/03
ぱせり
13
福沢諭吉の『イソップ物語 抄』(1880頃?)から始まって、「赤い鳥」のころまで。古い順に収録された子どもの物語を順に読むことは、体験型の児童文学の歴史でした。文体も内容も、ずいぶん変わってきました。明治の子は「幾星霜をや経たりけん」なんてのをさらさら読んでいたのね。『こがね丸』の挿し絵はすごくて笑っちゃう。明治の仕掛け絵本も楽しい。2012/06/01
スローリーダー
4
巌谷小波著「こがね丸」はリズミカルな文語体が読んでいて心地よい。これを嬉々として愛読した当時の子供の頭の良さが想像できる。泣けるほど感動する場面もあって、おすすめ。石井研堂著「少年魯敏遜」はとても臨場感があってワクワクしながら読んだ。おすすめ。名作集の中で一番好きなのは国木田独歩著「画を悲み」。物語から湧き出てくる抒情にしみじみと浸っていたくなる。2021/05/03
ゆたか
3
「児童文学」と言えども、時代が時代だけに文章の格調が高い。『三角と四角』はまるで星新一のショートショートのようである。2013/08/04