出版社内容情報
独自の宇宙的感覚と多彩な技巧によって,存在の愛しさをうたいつづけた草野心平(一九〇三‐八八)は,知と情が渾然と交じりあう希有の詩人として,日本の近代詩史上,大きな位置を占めている.蛙の詩人として出発したデビュー作『第百階級』から『定本蛙』『絶景』『マンモスの牙』等をへて晩年の年次詩集に至る全詩集より傑作を精選.
内容説明
独特の宇宙的感覚と多彩な技巧によって、存在の愛(かな)しさをうたいつづけた草野心平は、知と情が渾然とまじりあう希有の詩人として、日本の近代詩史上、大きな位置を占めている。デビュー作から晩年の年次詩集に至る全詩集より傑作を精選。
目次
『第百階級』(全)
『定本蛙』抄
『第四の蛙』抄
『明日は天気だ』抄
『母岩』抄
『絶景』抄
『大白道』抄
『日本砂漠』抄
『牡丹圏』抄
『天』抄〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
114
再読。『第百階級』と『富士山』の違いが面白い。『第百階級』では、蛙の視点から、この世界を描いている。地べたから物申すと言う趣で、生活者としての草野心平が前面に出ている。自然とつながるアニミズム的な美しさもある。「るるり」のような言葉以前の言葉を巧みに取り入れている所に、圧倒される。『富士山』は言葉の限りを尽くして、日本の象徴を描いている。詩の中の詩、美の極みだと感じた。富士山を描きながら、そのスケールが日本の外にはみ出していくところが、この詩人らしい。宇宙から富士山を見下ろして書いたような詩もある。2017/07/03
新地学@児童書病発動中
114
岩波文庫屈指の名詩集。草野心平は自分の中から熱い言葉の塊を素手でつかみとって、読み手の胸元に剛速球で投げ込んでくる。彼の言葉はぶっきらぼうで、ごつごつしているが芯は素朴で温かい。この詩集は彼の代表作である『蛙』と『富士山』の詩をすべて収めているのが良い。日本のシンボルである富士を真正面から描く後者を読んで、心を動かされない日本人はいないと思う。2014/04/07
中玉ケビン砂糖
106
、最近は哲学とか思想も大事だよなと思いつつも敷居が高くて手に取ることができず、かといって散文どもの騒がしすぎる世界に没入することにも怠けて結局スマホばかりいじっている、という情けないコンディションが続いていて、まあ新聞くらいは読むけど活字離れが深刻だな、と思ったので詩、詩ってなんかいいよね、素敵だよね、という体たらくで詩集を手に取ってみた次第、だけど中也とか朔太郎って気分でもないんだよなってことでチョイスしてみた変わり種がコレで、「意味不明」と騒がれたセンター試験の牧野信一などお呼びでないくらいのぶっ飛び2015/09/29
双海(ふたみ)
23
本書の扉に次の言葉があります。「蛙はでつかい自然の讃嘆者である(中略)地べたに生きる天国である」・・・詩自体は正直にいえばよくわからないものが多く、あまり馴染めなかったな。やっぱり私には日本語の詩では藤村や春夫がいちばんだ。「中原(なかはら)よ。/地球は冬で寒くて暗い。/ぢや。/さやうなら。」(空間) 2016/07/09
呼戯人
13
あああああああああああ!!おれのこころはがらんとあき。はいってくるのは寒さだが。寒さと寒さをかちあわせれば。すこしぐらいは熱がでる。すこしぐらいは出るだろう。あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!叫びの詩。なんとこんなに懐かしいのか。蛙と蛙 QとQ あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。これはほんとに詩なんだろうか?2016/02/02