内容説明
徳川幕府崩壊とともに三一歳で隠居し、ヨーロッパを一民間人として漫遊した成島柳北(一八三七‐八四)。幕府外国奉行として渡欧した栗本鋤雲(一八二二‐九七)。祖国のために観察した現役の外交官鋤雲と、心の赴くままに漫歩した自由人柳北の、二つの西洋見聞録。
目次
航西日乗(成島柳北)
暁窓追録(栗本鋤雲)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
33
幕末に成島柳北と栗本鋤雲がパリを旅行した時の紀行文です。成島のほうが普通の旅行人のような感じですが栗本のほうがしっかり分析しているような気がします。幕末人が見た世界の情勢ということで一つの資料価値はあるのでしょう。2014/12/05
feodor
4
『下谷叢話』を読んで、成島柳北の本読みたいな、と思って買った本。本願寺東派の宗教見聞旅行に同行することになった民間人としての成島柳北が見たフランス、イタリアは、なんというか今と変わらずのところも多い観光名所をいっぱい訪れていて、紀行文らしく日を追って書いているが、やはり漢詩人の血が騒ぐらしく、何かと漢詩をひねり出していて、現代人にはちょっと辟易。 栗本鋤雲のほうきはテーマごとにまとめて書かれている。セーヌ県知事オスマンのことなど、なかなか当時のヨーロッパ情勢を描き出していてよかった。2013/08/04
壱萬弐仟縁
2
成島先生の前半部分は、七言律詩があり、かなり原文が前半に多く、敷居が高いが、後半の注が充実しており、線画もあり、当時の臨場感が伝わるにくい作り。現代のブログ的な旅行記のようなジャンルかもしれない。後半の栗本先生の方が読みやすい感じがした。しかし、全体的に異国情緒漂う、この時季にマッチする文庫本。当方、紅葉の色付き始めました。喫茶店で紅葉でも眺めて読みたい感じ。2012/10/07
ANDRE
1
幕末から明治維新の頃パリを旅した2人の旅行記。柳北のほうは個人で行ってることもあって非常に旅を楽しんでます。何度も訪れているパノラマが気になる。イタリアや英国も訪れていますが、イタリアの日記がやたら饒舌なのでとても楽しかったに違いない。無機質な日記に見え隠れする興奮が面白いです。一方の鋤雲は外交官の報告書なんだけれど、こちらは一般人がいけないようなところにも行ってるっぽいのでこれまた興味深かったです。でも柳北の日記のほうが楽しいかなぁ~。到着するまでの長い航海日記も面白かったし。2009/11/24
tkm66
0
<幕末><幕臣><遣欧>と面白そう尽めでも<面白く無い>って事はあるんですね。2009/10/08