出版社内容情報
近代日本を代表する日本画家の一人であり,エッセイストとしても声価の高い鏑木清方(一八七八‐一九七二)の珠玉の随筆集.下町の風俗と文学をこよなく愛した清方が,元旦から大晦日まで春夏秋冬四季折々の風物への思いを綴った「宝船」「探梅」「花見」「菖蒲湯」「梅雨」「夏の女」「月の絵」「雁」等59篇を精選.清方自筆のスケッチを多数収録.
内容説明
近代日本を代表する日本画家の1人であり、エッセイストとしても声価の高い鏑木清方(1878‐1972)の珠玉の随筆集。下町の風俗と文学をこよなく愛した清方が、元旦から大晦日まで春夏秋冬四季折々の風物への想いをつづる59篇を精選。自筆のスケッチを多数収録。
目次
春(一陽来復;年始歳暮;正月の思い出;かきぞめ;宝船;春佗びし;探梅;如月小品;庭樹;雨声;大橋の白魚;花見;褪春記;きいろい花)
夏(若葉;菖蒲湯;端午;緑の雨;梅雨;内濠外濠;紫陽花舎閑話;つゆあけ;涼床語;『朝夕安居』;むぎ湯;夏の女;女人夏景;涼;野風呂;あさがお;涼味;ともしび;団扇と浴衣;ゆかた;土用前後;庶民の夏;郷愁の色)
秋(秋まだ浅き日の記;月の絵;身辺近事;こおろぎ;木犀;秋;障子;町の鑑賞;並木;東籬小話;菊)
冬(雁;火を懐しむ;冬がまえ;冬に向う;からかぜ;筑波が見える;入浴;雪)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
これはまだ人々の生活の中に風情という尊い徳の残っていた時代のお話。副題の「東京の四季」からもわかるように、著者の随筆の中から四季に関するものを収録しているのだが、これがまた滅法面白い。正月から冬まで一年の様々な自然や行事が描かれているのだが、画家の眼というか著者独自の感性がそれにとても馴染んで読んでいて心地よいのである。収録されている著者のスケッチがまたいい味を出しているし。例えば多数収録されている納涼の行事の数々、現在だとそのほとんどは失われ、我々の納涼はクーラだけになっている。何を得て何を失ったのか。2024/11/01
ヒロミ
60
美人画で著名な絵師・鏑木清方。美人画はもとより清方の淡い色彩で描かれた市井のスケッチが大好きなのだが、それを思わせるかのようなさり気なく、けれども流麗かつ端正な文章で四季を綴った清方流の歳時記とも言える随筆集。四季ごとに項目が分かれており清方が好きな夏の章は分量が多い。元旦の朝のおおどかさ、夏の日の葦簀越しの陽射しの眩しさ秋の月の儚さしんしんと冷える冬の夜。今はもう遥か遠くの面影となってしまったそれらの風景だが私はこの珠玉の随筆集から日本人の原風景としてたしかに享受することができた。季節も時も流れてゆく。2016/09/07
syaori
58
日本画家・鏑木清方の随筆集。副題「東京の四季」のとおり、筆者の見た東京の風物や随想を季節ごとに追ってゆく構成になっています。その画家としての美意識は随筆にも遺憾なく発揮されていて、月も朧な春の夜に船に引き上げられた網の雫かと見る白魚や、夏の夜の道端のむぎ湯の店のほの暗さなど、さらりと端正に書き流される「陋巷の風流」に目を奪われてしまいます。筆者も嘆くとおりそれらの風景は今では郷愁と共にあるものも多いのですが、初冬の火の恋しさや花見の心など変わらぬものもあり、どこか懐かしく身近な季節の移ろいを楽しみました。2018/10/11
keroppi
57
「小出楢重随筆集」を読んだら、鏑木清方の随筆集めた本もあると知り、図書館で借りて読んだ。四季折々の風物への想いが美しく綴られている。鏑木清方の絵の美しさは、この感性から生まれているのだなと思った。この随筆集、それぞれの短文が書かれた年代順ではなく、季節の順に並べられている。書かれた年代を見ると、戦中のものはない。後記を読むと、戦中、何度も疎開し、その後鎌倉に移転しているらしい。書く余裕もなかったのか、書くところもなかったのか。回想的自伝「こしかたの記」という本もあるようだ。読んでみたい。2026/05/06
零水亭
28
副題は「東京の四季」。春、秋が多いのかと思いきや、最も多くを占めるのはなんと夏!2023/02/18




