出版社内容情報
「美人伝」と称される長谷川時雨（一八七九―一九四一）の数百人にのぼる女性評伝から選りすぐった傑作選．樋口一葉をはじめ，川上貞奴・松井須磨子・平塚らいてう・柳原白蓮・九条武子・大塚楠緒子等十八篇を収録．他では得がたいエピソードが多数ちりばめられ，明治・大正の時代をひたむきに生きた女たちの息づかいが聞こえてくるようだ．
内容説明
「美人伝」と称される長谷川時雨の数百人にのぼる女性評伝から選りすぐった傑作選。上巻には、樋口一葉をはじめ、川上貞奴・松井須磨子・平塚らいてう等９名収録。
目次
マダム貞奴
樋口一葉
竹本綾之助：豊竹呂昇
芳川鎌子
大橋須磨子
一世お鯉
松井須磨子：平塚明子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
33
青空文庫にて大橋須磨子のみ読了。経歴を云うと芸妓上がりで明治の博文館創業一族新太郎の後妻。読んでいる途中でTwitterの書き込みを発見して昨日の呟きで紹介(神田古書街が職にあぶれた長岡藩士達によって作られたって話し)したのだが、須磨子が結婚したのがその中心人物の一人であったという嬉しい偶然。小作品ながら、紅葉館の話しとか、井上八千代が出てきたり、話題満載である。芸者や芸の描写が光る。当たり前っちゃあ当たり前か。明治期の紅葉館の存在はもっと知られて良い、跡地に東京タワーが立っているだけではなく。2017/01/31
ヨーイチ
30
樋口一葉、マダム貞奴、松井須磨子、豊竹呂昇、柳原白蓮など。殆どの人達と実際に付き合いがあったってのが凄い。それにしても、人と文化を含めた花柳界の存在感が凄い。多分戦後の料亭政治まで続いていたに違いない。2017/02/02
壱萬弐仟縁
20
９人。マダム貞奴。樋口一葉。 竹本綾之助。豊竹呂昇。吉川鎌子。 大橋須磨子。一世お鯉。松井須磨子。 平塚明子（らいてう）。 美はひとり誇らかに生きる力を 許されている（１１頁）。 丸顔に鶏卵形。 瓜実顔は上流貴人の相（１４頁）。 貞奴は、意地で突っ張る、弱い涙を 見せまいとする女（６４頁）。 実は、弱いという感じだろうか。 いや、違う。 彼女は勝気で癇癪持ち（７６頁）。 綾之助は女義太夫（１４６頁）。 2014/06/05
hazama
4
特に鮮烈なる生き様の、和風欧風の美女たちを書く、長谷川の主観的でありながら有無を言わせない筆致。ブレていない文章の気迫。なんでこの著者は美人に拘ったのだろう、そんな根本的なことも気になる。2011/04/02
めぐみこ
2
樋口一葉ら9人の女性たちについて思いのままに語ってゆく。マダム貞奴を「討死の覚悟のなかった」と切り捨てたかと思えば、芳川鎌子へは「迷夢を醒まさせる犠牲になった」と同情的、平塚らいてうに対してはファンレターの趣。みな著者と同時代の人なので、知り合いの知り合いだったり、少女時代に噂を聞いていたり、実際に顔を合わせていたりする世間の狭さに驚く。彼女らがリアルタイムでどう思われていたか、世間の声も知れて興味深かった。2020/06/04
