出版社内容情報
作者自選により,一九六○年代前半までの代表作を収録.Iには処女作「風浪」と「蛙昇天」を,IIには,木下民話劇の代表作「夕鶴」「彦市ばなし」のほか,「山脈(やまなみ)」「暗い火花」を収めて作者の多様な手法を示し,IIIでは,〈戦争〉を主題にした「オットーと呼ばれる日本人」「神と人とのあいだ」を収め,自伝的年譜を付す.
内容説明
発表以来、木下民話劇の代表作として多くの人々に受け入れられてきた『夕鶴』と、ほらの名人彦市が天狗の子からとりあげた隠れ蓑で騒動をおこす『彦市ばなし』。このほか、戦時下での激しい恋愛を描く『山脈』、占領時代、鋳物工場に働く人たちの意識を、新しい手法で追求した『暗い花火』を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
1
文庫で手に入る良質な戯曲集。四作収録しているが、それぞれ違った味わい。『山脈』は言わずもがなぐっとくるが、『暗い火花』の前衛行き過ぎてよく分からなくなった感、シビレル。2015/04/09
こうず
0
表題作『夕鶴』は、有名な報恩譚の民話に近代的ともいえる意識を持ち込んで翻案したものだと読めた。原典では、男の方からの視点のみで描かれる物語が、強欲な商人たちに丸め込まれて金儲けにしか興味が無くなっていく夫を悲しむ妻の目から、大げさではない寂寥で描かれている。後半二作は戦中戦後が舞台だが、個人的には最後のが好かった。2012/04/27
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