出版社内容情報
「富士には月見草がよく似合う」――表題作「富嶽百景」ほか、昭和12~15年発表の8篇を収める。新たな文体〈女がたり〉を用いた「燈籠」や「女生徒」「葉桜と魔笛」、森鴎外の翻訳を用いて創作の舞台裏を明かす「女の決闘」など、『晩年』刊行後のスランプを克服し、〈再生〉へと向かっていくエネルギーを感じさせる。
内容説明
「富士には、月見草がよく似合う」の一文で知られる「富嶽百景」ほか、昭和12(1937)‐15年発表の8篇。“女がたり”の文体を用いた「女生徒」や「燈籠」、森〓外の翻訳を用いて創作の舞台裏を語る「女の決闘」など、『晩年』刊行後のスランプを克服し、“再生”へと向かうエネルギーを感じさせる。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あや
27
「燈篭」と「富嶽百景」だけ読みました。「富嶽百景」との出会いは国語の教科書でした。あの有名な一文読みたさに読み急ぎました。昨冬は暖冬で冬の間中月見草が我が家の近くに咲いていて、それを見るたびに太宰のことを思い出していたのでした。2024/12/26
m sawa
2
結婚する女性とバス停まで歩くときのやり取りや, 最後の2人組の女性の写真を撮る場面など, 作者のイタズラっぽさが生き生きと書かれている. 富士山を主題にして, 俗っぽさや美しさを感じる瞬間を自分なりの審美眼で書いている. そういった点が清少納言の文章と似ている気がした. また, 人物描写が多いが, どの人物も悪意なく優しさを感じる. 特に気の毒な遊女たちを "富士山に託す"場面など.2024/07/30
hroko
0
「富嶽百景」に釣られて購入、電車通勤の合間に読み終えました。青空文庫で読めるけれど、文庫本には注と解説があるし。それで、スマホで検索という手間とノイズがなく読むことに集中できるし、新字体と現代仮名遣いは、そういうのを研究してる訳でもないし。巻末の解説を読んで、理解した気分になるのも、敢えて反論するのも、文庫本の楽しみだろうし。ああ、スマホより、文庫の方が軽い ... 歳をとるはイヤですね。2024/09/23