岩波文庫
旅愁〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 579p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003107546
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

日本的精神主義を重んじる矢代と西洋的自然主義に偏する久慈は、パリの空の下、議論の火花を散らす。それは欧洲取材を経て戦前から戦後へと本作を書き継いだ横光利一(1898‐1947)の文化・文明論の投影でもある。GHQによって書き換えを余儀なくされた問題作を、検閲前のテキストに拠り、作家の真意に迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社トリスタの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

62
大戦の暗雲漂い始める欧州そして故国。表紙写真の岡本太郎氏と著者が交流したパリを舞台に、表層の科学技術と心底の精神性の観点で日欧を対比。具現化した対照性が、2組の恋愛描写。印象的なのが、三島が工場で撮った写真の件。一同自身の頭の”種紙”を振り返り、脳裏をよぎる表題。ゴーカートの場面も、心に交錯する合理・非合理のぶつかり合いを暗喩という感。パリ最後の2人の夜に、矢代が吐露する不安。単なる恋の行方ではなく、帰国後に待ち受ける物心両面での変化への恐れではなかろうか。山査子の花と千鶴子を重ねたのも偶然ではない。2019/09/18

ken_sakura

6
古い、岩波、でもなかなか面白い(^_^)辷る(すべる)が読めない。罷業の意味がわからずググった。著者のベルリンオリンピック観戦に伴う外遊に基づいて書かれた物語。主人公の矢代耕一郎は著者、友人久慈は岡本太郎がモデルかな?そんな矢代と宇佐美千鶴子、久慈と早坂真紀子の二組が過ごす第二次世界大戦を間近に控えたパリの日々。上巻は第一篇第二篇。全五篇(未完)+梅瓶(終章?)本書はオリジナル版、巻末に戦後米軍による検閲変更部分を収録。表紙の写真は1936年パリの岡本太郎アトリエにて、右が著者、左が岡本太郎。下巻へ2017/06/16

シンドバッド

5
本書の最大の特徴は、『旅愁 全』との主な異動箇所が巻末に記載されていることである。これまで、『旅愁』を読んで「うん?」と疑義があった所が、戦後のGHQの検閲によるものであったことを知ることができた。2016/09/28

しびぞう

4
多くの人に読まれなければ作家は食べてはいけない。小説を読む層の殆どは今でいう「意識高い系」なのかもしれない。ざっと読んだ限りこの小説の登場人物は殆どがそれのように思える。故に、読者は登場人物にたやすく共感出来るだろう。外国が遠く憧れの対象であった時代とは違う今という時代にこの作品を読む意図は何なのだろう。手にとってはみたが、作家の真剣さを消費しているだけのような気がしないでもない。2017/05/30

ひろ

2
第1巻夢中になって読んだ。あとがきにもあるが純文学と通俗文学との中間を狙う純粋小説が大成功していると思う。実際に取材旅行をした紀行にもとづき臨場感たっぷり。登場人物の一人に加えてもらった気分。椿姫を見ながらのプラトニックラブにくらくらしたが、その後の塩野のノートルダム探索も痛快だし、セザンヌ展での矢代の見識も深い。千鶴子の大和なでしこらしさに存在感を感じる。ナチス台頭下の欧州、同じく軍部台頭下の日本という政治状況のなか、二組の恋愛を軸として花の都パリを舞台にした談論風発に啓発される。第2巻にドキドキ。2017/01/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11116569

ご注意
リンク先のウェブサイトは、株式会社トリスタの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
リンク先のウェブサイトについては、「株式会社トリスタ」にご確認ください。