出版社内容情報
「読んだ人は,どの小説を読んでも,どんな悲しいことを述べたものでも,いかにみじめな話が書かれたものでも楽しい気持になる」(宇野浩二).小説家であり文芸批評家でもある広津和郎(一八九一―一九六八)が,芥川竜之介・近松秋江・菊池寛・志賀直哉ら,同時代に活躍した作家たちの風貌と時代の空気を,生き生きと描き出した作品集.
内容説明
小説家であり文芸批評家である広津和郎が、芥川龍之介・近松秋江・菊池寛・志賀直哉ら、同時代に活躍した作家たちの風貌と時代の空気を生き生きと描き出した作品集。
目次
あの時代―芥川と宇野
手帳―近松秋江
「蔵の中」物語―宇野浩二の処女作
島村抱月
田山花袋
菊池寛
その夜の三人―大杉栄
奇蹟派の道場主義―葛西善蔵、相馬泰三
牧野信一
奈良と小出楢重
直木三十五
『随筆わが漂泊』―三上於菟吉
正宗白鳥と珈琲
志賀直哉氏の印象
志賀直哉と古赤絵
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
48
著者のことを知らなかったが、芥川をはじめ田山花袋、菊池寛といった文人と親しく交流があったことが書かれており、当時の文壇について大変興味深く読んだ。小説を書くのみならず評論家でもあった人なので、冷静な分析力と小説への情熱を兼ね備えており、当時としても稀有な人物ではなかったかと思う。2016/10/02
松風
14
狂乱する宇野浩二を自殺直前の芥川と「青山脳病院」の斎藤茂吉院長の所へ連れていく…などと書くと一見文壇ゴシップ集みたいだが、その切り取り方、語り口は奇跡派流道場主義的「文壇を舞台とした私小説」。読もうと思いつつ後回しにしてきた宇野浩二や葛西善蔵を読むきっかけとしたい。2014/01/28
きつね
11
面白すぎる!宇野浩二発狂当時の芥川を書いた「あの時代ー芥川と宇野ー」は前から読んでいたが、ほかにもこんなに面白い作家物語をたくさん書いていたのを読めてよかった。とくに気に入ったのは「奇蹟派の道場主義ー葛西善蔵、相馬泰三ー」。互いの小説で友人を捏造まみれにボロクソに書きつつ、酒を飲み合う仲間連の流儀が白樺派、新思潮派と対比されるのが面白い。葛西善蔵のぶっとび具合もさることながら、安全地帯で騒ぎを喜ぶ宇野浩二の姿もいい。細かな異和を掴み取る観察眼、なるべくいいところだけ書こうとする広津の書きぶりが心地よい。2013/10/12
1.3manen
11
「『人生は一行のボオドレエルに若(し)かない』とは芥川君の精いっぱいの捨科白(すてぜりふ)で、少年のような魂には人生とは『漠然とした不安』であり、恐怖だった」(93頁)。漠たる不安。この感覚は、現代も汚染水に消費増税で蔓延しており、こんなことでは世の中明るくはなり得ない。菊池寛のところでは、「人生の事ももう大概解ってしまったから生きている興味もなくなった。自分は五十位で死にたい」(188頁)。今の私は厄年で、病も抱えているため、菊池先生の気持ちも理解できる。ま、あと数年でもいいけども。1万冊読めば死ねる。2013/10/01
月
10
★★★★★(広津和郎と親交が厚かった宇野浩二(の章)に興味があり本書に手を伸ばす。広津といえば勝手ながら評論家的なイメージが定着していたが、これは回想的な随筆とでも言うのかとても面白い。文章も上手い。特に芥川と宇野に関する「あの時代」は読み応えがある。一転、近松秋江の章などはとても面白い。菊池寛については漠然と感じていた氏のイメージが鋭くも暖かく表現されているように感じる。正宗白鳥と志賀直哉の章もいい。記憶に残る人たちとの出会い、印象、心の思いを、広津ならではの感性・表現で書き残された作品である。) 2013/05/16
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