出版社内容情報
東海の小島の磯の白波にわれ泣きぬれて蟹とたはむる――貧困と孤独にあえぎながら,重くのしかかる現実を三行書きの短歌でうたい,歌壇に新風を吹きこんだ石川啄木(一八八六―一九一二)の歌は,永遠の青春の賛歌である.歌集『一握の砂』『悲しき玩具』に新聞・雑誌等に発表した歌を加え,その足跡をたどる.全歌の索引を付す.
内容説明
東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる―。貧困と孤独にあえぎながら、重くのしかかる現実を三行書きの短歌でうたい、歌壇に新風を吹きこんだ石川啄木の歌は、永遠の青春の賛歌である。歌集『一握の砂』『悲しき玩具』に新聞・雑誌等に発表した歌を加え、その足跡をたどる。新たに収録全歌の索引を付す。
目次
一握の砂
悲しき玩具
補遺
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さゆ
91
不道徳、されどロマンチック。日常の気持ちを忌憚なくかつ実直に歌にされたものが多く、特に貧困と病への嘆きが胸を打った。 「やや長きキスを交わして別れ来し 深夜の街の 遠き火事かな」 「何処やらに 若き女の死ぬごとき悩ましさあり 春の霙降る」2023/12/06
燃えつきた棒
34
中野重治に「歌」という詩がある。 《おまえは歌うな おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな 風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな ー中略ー 胸さきを突きあげてくるぎりぎりのところを歌え たたかれることによつて弾ねかえる歌を 恥辱の底から勇気を汲みくる歌を それらの歌々を 咽喉をふくらまして厳しい韻律に歌いあげよ》(中野重治「歌」)/ 僕は、啄木の歌こそが「胸さきを突きあげてくるぎりぎりのところ」を歌った歌だと思う。 もちろん、そこには「赤ままの花」も多く含まれているにしてもだ。2026/06/14
ばりぼー
33
代表歌集『一握の砂』『悲しき玩具』に、雑誌や新聞に発表した歌を年代順に網羅した「補遺」と詳細な解説を加えた研究者用とも言える豪華版。太宰治などと同様、作者の人格と作品の芸術性は無関係だという好例。「たはむれに母を背負ひてそのあまりの軽きに三歩あゆまず」「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買い来て妻と親しむ」…「清貧」なんていう言葉で美化されがちですが、家庭を顧みずに借金を重ねて女遊びを繰り返したろくでなしですから。「一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねといのりてしこと」時にポロッと本音が…(笑)。2018/02/11
金吾
26
山田風太郎『人間臨終図巻』での啄木への最後の言葉に触発されて読みました。哀しみがあふれている中、心に沁みるものがあります。2025/04/13
Kikuyo
22
「雨後の月ほどよく濡れし屋根瓦のそのところどころ光るかなしさ」「人間のつかはぬ言葉ひょっとしてわれのみ知れるごとく思う日」「いのちなき砂のかなしさよさらさらと握れば指のあひだより落つ」悲しさ、郷愁、においで記憶をたどるような歌が自分は好みかな。「たんたらたらたん」と雨音の表現も痛む頭にひびくかなしさも、真っ直ぐな感覚表現がススッと心に入ってきます。2018/12/31




