岩波文庫<br> 海神丸 (改版)

岩波文庫
海神丸 (改版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 99p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003104910
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

小帆船・海神丸は難破して漂流数十日におよび,飢えた乗組員は仲間を殺して喰らおうとさえ企てた.実在の事件に取材したこの物語は,限界状況におかれた人間のすさまじくも哀しい生の姿を息づまる筆致で描き出している.発表(一九二二年)から半世紀のち奇しくも作者はこの船を救った人とめぐり会い「後日物語」を書いた.

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

47
わずか70頁余ながら胸苦しくなる程の臨場感。正直、ここまで引き込まれるとは思ってもみませんでした。特に海の描写が心底怖い。付録の後日物語には執筆から半世紀を経て明らかになる真実が収められており、こちらも読み応え満点。2015/09/07

藤月はな(灯れ松明の火)

47
正月を豪華に祝うためのお金を手に入れるために航海に出た海神丸。だが途中の天候悪化により物資はほとんど、流され、飢餓状態に陥る羽目になってしまう。すき焼きや蒟蒻などの食べ物の夢で悶絶した後で仲間の丸々と太った太腿を見た八蔵が「食べられるんじゃないか」と気づく場面が怖い。実際、メデューサ号のようにはならなかったけど、飢餓状態で人を食べるために殺し、それを「是」としようとした心が許さなかったからこそ、殺された船員のことを「病死した」と言ったのかもしれません。救助されてから嬉しさで踊り狂って死んだのもきついです。2014/09/04

寝落ち6段

19
漂流した船。太平洋の真ん中で、食料が尽き、飢えが思考力を奪う。仲間を殺して食うのか、仲間と共に飢え死ぬのか。『野火』とはまた違う状況であるが、自分の命と人間としての尊厳が交錯する。人を食う、元々悪人だからそんな思考をするのか、極限だからそんな思考をするのか。追記されている後日談も大変興味深い。もし、自分自身がそんな状況におかれたら、どんな行動をするのか。本当に、わからないから、怖い。2025/01/15

佐倉

16
著者の地元で伝えられている遭難事件についての顛末を元に創作した小説『海神丸』と、後年になって救出した側である人物の知己を得たことで聞き取った『後日物語』が収録。後日物語では実際には船長が二人いたこと、五郎助が踊り狂って喜んだのは事実だが直接の死因は飢餓状態の中で夜中に食堂に忍び込んで腹一杯に盗み食いしたこと、八蔵のモデルとなった志花太が船に乗ることになった経緯とその後など明らかになった事実を書いていく。事実と噂話とそれを元にした小説という、現実と物語のパラレルな関係が垣間見えて非常に興味深く感じた。2023/12/19

ユー

10
実在の海難事故に基づいた内容。方言が豊かで、理解し難い文面もあったが、前後の内容から大体理解出来る。極限状態に追い込まれた人間は、どの様な行動を取るのか。「常識は、全く通用しない、自分さえ良ければ良い」、が前面に出て来る内容が多過ぎて、考えさせられました。2014/09/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/388955
  • ご注意事項

最近チェックした商品