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岩波文庫
千鳥 他四篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 170p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003104545
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

瀬戸内海のある小島の宿で病を養う青年が藤さんという若い女に会う.女は淡き2日の語らいに,千鳥の柄の緋の紋羽二重の片袖を形見に残して知らぬ間にいなくなる.どこへ行ったのかわからない.この唯美的・浪漫的な作品「千鳥」(明治39年作)は漱石の讃辞を浴びた.

内容説明

静養先の瀬戸内海の小島の心象風景を、二日間の出来事の内に切り取った処女作「千鳥」をはじめ、作者の若い日の夢幻的境地を示す初期作品五篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

YO)))

22
表題作は瀬戸内の島の二日間、自分と藤さんとの恋ともいえぬような淡い触れ合いを綴ったもので、余りにもピュアな叙情に心のロンダリングを余儀なくされて切ない。作家は酒乱の気味があったそうで存外嫌な人物だったのかもしれないが「根がロマンチスト」とはこのことだと思った。嫁ぎ先の家の、少しく怪談じみた因縁話の中での姉弟愛を描いた「山彦」、近所の"若いをばさん"と少年との面映ゆくも暖かい交流「おみつさん」などもとてもよい。2018/01/24

桜もち 太郎

8
三重吉が神経衰弱で休学し、田舎に帰りその生活をもとに空想して漱石に送った物語。短編5作品。表題の「千鳥」、千鳥の話を主人公が語っていく。縁あってある家に避暑に来た私は家族のように迎えられる。そこで出会った藤さんという女性。優しく暖かくそして最後には寂しい話となる。ところで「千鳥」っていったいなんだろう、と最後まで不明だった。もう話が終わってしまう、結局わからず仕舞だったなぁ、と思いながらページをめくった最後の一行で謎が解けた。感動でグッときてしまった。他の作品も優しさと寂しさに包まれていた。→2015/05/06

ともこま

1
漱石先生繋がりで知り、この短篇集を手にした。どの物語も引き込ませる魅力があり没入出来た。ぱっと儚く終わる展開がより後を引く、余韻に浸る読後感でよかった。2023/11/26

雨具

0
『千鳥』のみ読了。個人的に思い入れのある話です。2014/02/13

moon-shot

0
文章力にちょっと感動。「千鳥の話は馬喰の娘のお長で始まる」の書き出しで有名な「千鳥」は、明治三十九年に書かれた第一作。夏目漱石の目に留まっていきなり「ホトトギス」に掲載された。「城下見に行こ十三里、炭積んでゆこ十三里、と小唄に謡ふといふ十三里を、城下の泊りからとぼとぼと、三里は雨に濡れて来た」で始まる「山彦」も、のっけから思わず身を乗り出したくなる名調子。抒情溢れる山間の田舎の描写だけでも十分面白いけど、途中から、嫁が代々二十七で死ぬと言う因果話も加わって結構盛り上がる。やはり岩波文庫もたまには読まねば。2023/05/02

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