出版社内容情報
ここに収めた「人生の幸福」他2篇は,いずれも大正13年よりやつぎばやに発表された白鳥の戯曲の中でも代表的なものである.春たけなわの安土を舞台に血に渇く信長を中心にくりひろげられる人生夢幻の錦絵「安土の春」をはじめとして,虚無と懐疑と絶望の孤独人白鳥の美しく鋭い詩境が心憎いまでに各篇にみなぎりわたる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YO)))
26
戯曲三篇。いずれも恐ろしく虚無的でめちゃくちゃヤバいので読んだ方がいいというか読まない方がいいと思う。表題作…互いに相手のことを「死ぬか気が違ったほうが幸福だ」と考えている兄弟+異母妹の話し。『安土の春』…信長様、自ら手打ちにした使用人や道中馬で踏み殺した百姓の子供にコメントして曰く「人間は脆い」、こわい。『光秀と紹巴』…大それた謀叛を企みながらもどこかダウナーな光秀が、無理矢理道連れにした連歌師に愚痴る。2016/08/15
深川路
1
私は作者もお気に入りの「光秀と紹巴」が好きでした。連歌師の紹巴に本能寺を狙っていることを悟られた光秀が彼に「今日のおれの心の動きをいろいろに監視している其方だ。これから先きも、おれの側に附き添ってゐて、よく見てゐるといい。」と言っていて萌えました。←2011/03/08