出版社内容情報
寺田寅彦(一八七八―一九三五)の随筆は芸術感覚と科学精神との希有な結合から生まれ,それらがみごとな調和をたもっている.しかも主題が人生であれ自然であれ,その語りくちからはいつも温い人間味が伝わって来る.二十代から最晩年の五十代後半まで書きつがれた数多の随筆から珠玉の百十余篇を選んでこれを五巻に編んだ.
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
22
随筆集の4冊目です。読みでがあります。さらにさまざまな分野に話が及んで興味が尽きません。とくに銀座アルプスの項は自分の子供のころに父親に連れて行ってもらったレストランなどの話に引き込まれました。また結構映画も見ておられるようで楽しめました。2014/08/22
ge_ha
11
以前このシリーズ3巻までを一気に読み、久しぶりにまた戻ってきました。やっぱり面白い。随筆を読む楽しさが詰まってる。寺田寅彦の持つ科学者の目には死角が無い。いろんな随筆が収められており、読むたびにお気に入りは変わると思う。今回は「科学と文学」って随筆がお気に入りに。真実があってこその芸術。文学は人間のまだ理論化されたり発見されていない【思惟の法則】を書くこと。真実を追求するという意味では同じ。って事が書いてあったと思う。科学と文学で大きな功績を残した寺田寅彦の科学観、文学観が端的に書かれた面白い随筆でした。2013/02/22
paumi
4
私はまだ生まれてないのに当時の東京の様子が浮かんでくる。東京の喧騒と静寂、昼と夜、その中での寺田寅彦の思索。そんなまったりとした雰囲気がノスタルジーを感じさせる。私も彼のようにのんびりと焦らないで思索にふける生活を送りたい。2017/10/14
unknown
4
「それはとにかく、われわれの子供の時分には、火の玉、人魂などをひどく尊敬したものであるが、今の子供らはいっこうに見くびってしまってこわがらない。そういうものをこわがらない子供らを少しかわいそうなような気もするのである。こわいものをたくさんにもつ人は幸福だと思うからである。こわいもののない世の中をさびしく思うからである。」(人魂の一つの場合)2011/11/16
ポテンヒット
3
昭和8~9年に書かれたものだが、今読んでもストレートに心に響く。特に地震や火事、ジャーナリズムの話など私たちが進歩していないのか、忘れやすい生き物なのか過去の経験から学んでいないように思える。昭和8年はヒトラーが政権を手にし、日本が国際連盟から脱退した年だ。同じような過ちを繰り返さないことを切に願う。2020/10/28
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