出版社内容情報
晩年の虚子が,次女星野立子の主宰する『玉藻』に連載した俳話をまとめたもの.俳句の本質,味わい方,作り方について自在に語ったもので,客観写生・花鳥諷詠の理念がやさしく説かれる.芭蕉時代の俳諧5篇と子規,碧梧桐の思い出や『ホトトギス』のことを質問に答えるかたちで語った貴重な記録「研究座談会」を収録.(解説=藤松遊子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
39
深澤直人さんのオススメ。客観写生は作り手の人が出る。シンプルなデザインの根っこにある普遍性。2017/10/10
双海(ふたみ)
16
私のひねった俳句が俳句ではないのは、ひとえに客観の修練不足からと言える。虚子の大きさを改めて感じることができた。「今日世間で評判されるものは主観の暴露されているものである。そうでないと一般に分からないのである。私は最もそれを忌む。描写は茫洋として大海の如きものであれ。そのうちから遠く深く主観の光を認めよ。」・「客観描写というのは客観を描写するために尊いのではない。その客観描写に依ってその人を現すがために尊いのである。」2017/07/23
nbhd
15
無印良品×高浜虚子。読んだきっかけは、無印良品のアドバイザーなどをつとめるデザイナー深澤直人さんの紹介から。昭和30年ごろの本だけど、いま新しい、とてもとても良い本。一貫して、虚子が説いているのが「客観写生」で、たとえば「客観写生ということに努めて居ると、その客観描写を透して主観が浸透して出て来る」と書いている。デザインは、個性の表現ではなく、万人のための器のようなもの。客観を貫いたところに、俳句の(いわば、デザインの)主観・個性がうかびあがるという考え方だ。無印良品と高浜虚子が一線でつながった。2017/06/15
双海(ふたみ)
14
再読。先日、早稲田界隈の古書店で再購入したもの。1997年刊行。1997年と聞くとまだまだ新しいように感じるが、もう20年以上経っているとは・・・。2019/09/20
やま
13
先日読んだ本がこの本を薦めていたので再読。初っ端の、外国人には俳句ができないあたりは、戦後すぐの頃の話だから仕方がないかなぁ。最近では、万葉集を英訳するマクラミンとか出てきているし変わってきている。◇客観写生のことが書かれているが、どうすればそうなるのか?すぐに答えを求めようとしているわけではないけど、まだよくわからない。花鳥諷詠は、古いようで俳句の真意かもしれないことを理解した。2023/06/28