岩波文庫<br> 新世帯/足袋の底 - 他二篇

岩波文庫
新世帯/足袋の底 - 他二篇

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 144p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003102251
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

辛苦の末やっと自分の店をもった新吉は妻を迎えたが,妻がお産で実家に帰った留守,他の女に興味を感じる.新世帯の苦労と結婚生活の幻滅を描いて作者の自然主義的傾向を示したこの「新世帯」はわが自然主義文学確立史上の重要な里程標のひとつとなっている.他に秋声(1871‐1943)初期の代表的短篇を収める.解説=徳田一穂

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

michel

24
★4.2。これはまさに、究極のリアリズム。「新世帯」は、新婚夫婦の隙間に入り込んだ異物の女をきっかけに、夫婦はそれぞれの世帯をどう捉えるのか。他、「出産」「彼女と少年」「足袋の底」の4短編。どれもラストですっかり持って行かれる短編らしい魅力だ。何か事件が起こるわけではなし、ただ現実の日常が淡々と流れるだけ。それなのに、これほどまでに心を捉えてしまうのは作者ならではの筆力なのだろう。徳田秋声、素晴らしい作家さん。2019/09/07

ハチアカデミー

13
A 私小説という露悪主義に陥る(それはそれで面白いんだけど)前の、自然主義文学の神髄。後のプロ文への影響も感じさせる、冷徹な目と語りが魅力。「新世帯」では、見合いによって連れ合いとなった夫婦の、うまく噛み合わない日常が描かれる。ロマンの欠片もなく、人生への諦念すら感じてしまう。「足袋の底」では、家族に疎んじられる老人が、若い女の所で呑み歩くという晩年の楽しみを描く。荷風の「墨東奇譚」を思わせる秀作。地味で暗くて、同じ様な名前の作家が多く間違えられがちだが、看過できない作家であると再認識。2012/06/19

Automne

6
断片を切り取ったような日常、自然に紡がれる豊かな文章。男女の些細なもつれや縁戚との不和を美しく描いている。足袋の底は現代の痛客にも通ずるし、いつの時代も風俗的なものは風俗的である。男の頑固でうじうじした不甲斐なさと、女の子のねちっこい神経質。近代劇の名作として心に留めておこう。2020/03/11

しゅん

5
『新世帯』を。見合い結婚をした酒屋の男と気弱で不器用な女。夫の友人が刑務所行きになり、友人の妻が夫婦の家に住み込むことに。派手で気丈なこの女のために一歩間違えれば全てが崩れる微妙な人間関係が生じる。どこにでもあるようなドラマを、感情に引き込まれすぎず、かといって遠い位置から見るのでもなく、絶妙な距離で生々しく描いて、どこにもない言葉を生み出す。一番に美とか芸術を感じる小説はこういうものかもしれない。ほれぼれします。2016/08/31

Shigeo Torii

2
30年ぶりぐらいに再読。自分には(勿論当時のことは知らないが)何か懐かしい気がするが。今の人には、到底興味が湧か無いだろう、、、。2020/01/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/504724
  • ご注意事項

最近チェックした商品