出版社内容情報
日露戦争に従軍して帰国した花袋は,故郷に近い羽生で新しい墓標を見つける.それは結核を病んで死んだ一青年のものであった.多感な青年が貧しさ故に進学できず,代用教員となって空しく埋もれてしまったことに限りない哀愁を感じ,残された日記をもとに,関東の風物を背景にして『田舎教師』を書き上げた. (解説 前田 晁)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
19
代用教員として働き、結核で命を落とした青年を描いた小説です。明治の関東の自然と風景が瑞々しく描かれており、この部分には心が洗われました。この小説で特に素晴らしいと思うのは後半です。日露戦争が始まり、主人公が住んでいる田舎にも戦況が伝わります。しかし病気のために彼はどんどん衰弱していきます。日露戦争にくらべて、一人の男の病は些細なことに見えます。しかし、田山花袋は憐れみ深く青年の最期を描き出します。ここに書かれているように、小説の神髄は天下国家を論じるより、平凡な人間の人生を表現することだと思います。2020/06/07
ikedama99
9
夜に読む本の1冊。昨年、東京の神田の「三茶書房」という古本屋さんで発見し購入。ずっと探していた本だったのでうれしかったのを思い出しつつ読む。最初は大学時代に読んだので、話はほとんど忘れていた。でも、明治の中の「物悲しい雰囲気」はよみがえってきた。主人公の清三の思いと行動は、何か身につまされる思いがした。彼は何をしたかったのだろうとふと思う。彼を縛るものはあるが、折り合いのつけ方も難しいくらい、自分の心に純真で臆病だったのだろうか?・・また読むと違うかも。「布団」も読みたい。2025/10/01
ほたぴょん
5
花袋、自然主義、という言葉から想像されるものよりも、ずっと面白かった。大望を抱きつつも貧しさから田舎で教職に就き、そしてほとんど何もなすことができないままに、一歩一歩衰えて死んでいく青年の姿に、花袋という作家がとらえた人生の悲しさがあると思う。2010/05/07
若菜
4
淡々とした書き方で、林清三という青年の人生がより心に迫ってくる気がしました。いつの世にも、何を残すこともできず儚く命を散らす人がいるのだ、むしろ名を残す人など僅かで、ほとんどの人が平凡に生き死んでゆくのか、哀しいな、と主人公と気持ちを重ね合わせて想像しました。 この当時の学校の様子や人々の価値観などもよく分かり、非常に面白かったです。2016/03/28
ムー
4
最初の方は中々入り込めなかったがさすがに後半はのめりこんだ。 悲劇の結末ですが巻末の感想を読んで思うことは金の無い家に生まれ 思うような夢も持てずだがそれなりに田舎先生というものになり女郎も覚え 平凡でも女の生徒にモテ決して最悪ではない人生です。良作です。2015/05/25
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