出版社内容情報
上嶋鬼貫(1661-1738)は、「東の芭蕉、西の鬼貫」と称された元禄期の俳人。『鬼貫句選』は、炭太祗が鬼貫の発句から四百余句を精選したもの、『独ごと』は、「まことの外に俳諧なし」で知られる鬼貫の代表的な俳論・随想集である。
内容説明
上嶋鬼貫(1661‐1738)は、「東の芭蕉、西の鬼貫」と並び称された元禄期の俳人。『鬼貫句選』上巻には、炭太祇が精選した鬼貫の発句三百五十余句を収める。下巻には、自宅内で禁足しながら書かれた東海道の旅日記「禁足旅記」を収録。『独ごと』は、「まことの外に俳諧なし」で知られる鬼貫の俳論・随筆の集大成である。
目次
鬼貫句選
独ごと
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
111
岩波文庫万歳!こんな本を出してくれるので、この文庫が一番好きなのだ。「東の芭蕉、西の鬼貫」と呼ばれた江戸時代の俳人上嶋鬼貫の俳句と、旅日記、随筆。俳句はユーモアと叙情性がうまく溶け合った作品が多くて、心地よい読み心地だった。旅日記は自宅に居ながらして書いた架空の東海道旅行記。江戸の旅情がたっぷり味わえる逸品だった。編者によると芭蕉の『奥の細道』も影響を与えたそうだ。一番好きなのは「独りごと」の後半で、この部分で四季折々の自然の風物を美しく描き出している。この部分の美しさには溜息が出た。(続きます)2018/09/12
かふ
17
鬼貫(おにつら)という名前が凄い!(俳諧の)鬼の道の紀貫之先生なのだ。星一徹なみのスパルタだよ、姉ちゃん。やっぱ芭蕉先生の方がいいかな。なんとなく人気もありそうだし友達も多そうだ。「俳句の星(道)」は、遠い。「禁足旅記」は、解説を読んでも芭蕉との関わりがよくわからなかったが、読んで思ったのは俳句としてよりも紀行文の面白さがあるのだった。一つはそれが歌(俳句)物語であるということ。「伊勢物語」の歌物語の形式を踏まえている。それが芭蕉の『おくのほそ道』より12年先に書かれたという。2022/06/15
AR読書記録
5
「東の芭蕉、西の鬼貫と並び称された元禄期の俳人」とのことですが、いやぁ全然知らなんだ。そして、俳句ってやっぱりいいなとしみじみ。そう思う理由はいろいろあるけど、例えば秋の句の「行水の捨どころなきむしのこゑ」と読むと、「そうそう、庭から虫の音が盛んに聞こえるのにふと気づいたとき、『ああ、秋だな』と思うんだよな」と、自分でもなんとなく気づいてはいたけどそう気に留めていなかったことについて、鮮やかに記憶と認識とが引き出されるわけです。その気持ちよさ。自分も、つぶやきを俳句で表せるようになりたいとか思うわ。2015/06/24
壱萬参仟縁
4
東の芭蕉、西の鬼貫(221ページ解説)。319番旅泊「膝がしらつめたい木曾の寝覚哉」(72ページ)。今の上松町にも紀行されたのだろう。夏でも寒いよいよいよいの木曽節だから、木曽川の水が冷たかったであろう。大津市の膳所(ぜぜ)368番義仲塚「柿茸や木曾が精進がうしにて」(87ページ)脚注では、がうしは合子で蓋のある漆塗りの椀。『平家物語』「猫間の事」の中納言藤原光隆が義仲から無塩の平茸を振舞われたエピソードから。漢文も最後に出てくる。評者の出身地も出てくるので、備忘録としたが、中山道の現代的意義は大きい。2012/12/18
Kindman
2
東の芭蕉、西の鬼貫と名高くもあんまり知られていない俳人の句集。 良句ぞろいで、特に風景描写においては、芭蕉より好きだが、なぜあまり知られていないのか。 ぜひ読んでみてほしい。2019/06/30