出版社内容情報
江戸時代は怪談の好まれた時代であり,早くから刊行された多くの怪談本は近世文学史に無視できぬ位置をしめている.本書は『宿直草』『奇異雑談集』『曽呂利物語』『伽婢子』『諸国百物語』『新御伽婢子』など代表的な十一種の怪談本から現代人が忘却の彼方におしやってしまった「不思議の園」としての作品を精選し脚注つきで提供する.
内容説明
「おどろおどろしきことを語れ」と秀吉に命じられた曾呂利新左衛門が語ったという『曾呂利物語』、「諸人発心の便とせん」との志で編まれた『因果物語』、明代の怪異小説を日本の歴史・風土にみごとに移しかえた『伽婢子』。これら3種の怪談集から88話を選んだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
10
「曾呂利物語」「因果物語」「伽婢子」からの選集。特に初めて読んだ曾呂利物語に、ハートを撃ち抜かれてしまいました。曾呂利新左衛門さんの面白い話を、太閤秀吉じゃなくても聞いてみたい。さし絵入りなのも嬉しい、秋の夜長のお楽しみ怪談。読みごたえありの1冊でした。2018/10/30
Meistersinger
2
怪談の三分類(中国伝来・仏教・民俗)というのは興味深い。けど中巻は話よりイラストの方が楽しかったりして2010/03/11
眉毛ごもら
1
中があるのを知らずに上下を読んで満足したらその後中含め再版されてるのを見て目を疑って買ったという曰く付き。或る意味怪談だった本。江戸時代に編纂された怪談集を集めたものであるが一昔前の戦国時代や中国の小説の翻案が多い。牡丹燈籠もある。応仁の乱やそれ以降の戦乱で焼け出された人やその設定を使った狐が多いので時代を感じさせる。嫉妬で狂うもの。蛇の祟。生きながら鬼になる。狐狸に騙されるなど基本的なパターンだが実在人物を出したり本当にあった話感を出していて面白い。本文は翻刻ではあるが江戸時代のものなので読みやすい。2021/06/23
YumiMori
1
電灯なんかなくて、しーーーーんとした中でたんたんと小声で寝物語された日には、ぼんやりと怖くて嫌だなぁ、と読みながら思う…そして挿絵がたまらなくいいのだ…2014/02/09
戦狐
0
諸国百物語や伽婢子は、民俗学や妖怪関連の書籍読んでるとよく名前が挙げられるので抜粋とはいえ読んでみてかなり面白く読めた。仮名遣いなどの直しも最低限なので雰囲気も楽しめる。 特に気に入ったのは表紙にもなっている『蛛の鏡』という話で、宝鏡に擬態して人をおびき寄せるという生物的な進化を感じる蜘蛛の妖怪が登場する2016/01/26