出版社内容情報
「雑兵物語」は下卒練武の要訣として江戸時代を通じて心ある武人の間に珍重された書,雑兵30名の功名談,失敗談,見聞談等の形式を借りたいわば物語,戦訓である.「おあむ物語」「おきく物語」はいずれも干戈の際城中に在った女性の体験を記した書として興味あるとともに口語史上注目さるべき書.
内容説明
「雑兵物語」は足軽・草履取りなどいわゆる「雑兵」の功名談をもとにした一種の戦陣訓。関ケ原の合戦、大坂落城の見聞録二編を併収。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
澤水月
11
関ヶ原合戦、石田三成落城間近の血腥い中、生首に化粧をし続けたり落ち延びる最中産気づき田の水で産湯を使う生々しい描写のおあむ物語目当て。とても短いが併録おきく物語と併せ敗戦武将周囲の大変さが迫る。雑兵物語は見た事ない江戸古文体、「ぬし」が「にし」だったり恐らくかなり下層の足軽たちの槍の使い方やお方様の馬扱いに愚痴をいう口語が新鮮。実戦ない江戸時代を通じて読まれた実践書のようで生首切りやすいような用具の持ち方とか…とはいえ「命こそ物種だぞ」との実感も。具足を黒糸で繋いであると切れるというのは染物の化学変化か?2014/02/27
壱萬参仟縁
9
挿絵もあるし、比較的活字は大き目。冒頭解説では、軍学の分野だという(8頁)。おあむ物語は慶長5(1600)年関ヶ原の役で石田三成の大垣の城にあつた一女が、親しく体験したことを記したもの(17頁)。なんか、挿絵からすると強くなさそうな感じがしてしまうが? 「べいぞ」という言い方が音読していると気になる。口調ということか。おきく物語は、まる が頻繁で、ぶつ切りな文体。江戸時代初期の戦乱の中にあっても、文体はそんなに激しさを感じない。むしろ、幕末維新の方が激しい感じを受けるのは不思議なことである。2013/12/24
YumiMori
4
おれがかつぱさんだ様にさしつは、五六尺の刀もぬけべいぞ。そうか、おっちゃんが挟んだみたいに挟んでおけば抜けないんだね!やってみるよ!声に出して読みたい雑兵物語。2014/09/16