出版社内容情報
江戸中期に,陸奥の国から薩摩までの民謡三九八首を集めて刊行されたのが本書である.職業的歌唱者によらず,山家農村の民衆に依処して編まれたところ特色とす.「めでためでたの若松様よ」は今もよく耳にするが,人目を忍ぶ恋の辛さを歌うなど,その主題は現代歌謡に多く受けつがれている.各句に精しい注を加え,類歌も列挙した.
内容説明
江戸中期の民謡集。68ヵ国、398首を収める。今も残る「めでためでたの若松様よ」の祝歌を最初に、田植え、草取り、収穫など、労働につれて歌われたものが多い。また「恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす」と、人目を忍ぶ恋の辛さを歌ったものも少なくない。民謡の祖であり、その主題は現代歌謡に受けつがれている。
目次
巻之上(畿内五国;東海道十五国;東山道八国)
巻之下(北陸道七国;山陰道八国;山陽道八国;南海道六国;西海道九国、並二島)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃん吉
2
名もなき人々が生活の中で歌い継いできた歌。類歌が全国各地に分布していたりして、名歌が、ゆっくりと伝播する中で、少しずつ変容したのか、その土地で歌い継がれる中で、その土地の風土や人の気性に沿って変容したのか。どちらにしても、長い時が熟成させたもの。そんなことを考えるだけでも楽しくなりました。掛詞、縁語などの日本の歌の伝統を垣間見るのも嬉しく、人を恋ふる人々の機微など、時を越え変わらない心情が歌われているのにしみじみとしたり、心情がおおらかに歌われるのに人々のたくましさを見たりと、琴線に触れる一冊でした。 2018/11/24
さえ
1
1周目終わり 2018/02/20
伊勢田和良
1
浅野健二校注「山家鳥虫歌」を読みました。 「めでためでたの若松様よ 枝も栄える葉も茂る」 など近世に各地で歌われていた祝唄、民謡、田植唄、子守唄、などを集めたものです。 時代、唄われた背景、意味内容が、不明なものが多く、70%くらいは校注を読んでも、解りません。 狂言、古今和歌集など当時の人々に膾炙されていたものからの引用が多く、底本の相当な知識が必要でしょう。 読む労力に比べ、古典は得るところは少ない、の格好の例かと感じました。 いくつかは、いまも通じる面白いのがあります。 「こなた思えば千里も2015/09/29
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