出版社内容情報
『日本外史』(全二二巻)は,その対象を頼山陽の生きた武家時代にとり,平氏から徳川氏に至る漢文体の通史である.記述の範を司馬遷『史記』の「世家」にとったが,その巧妙な叙述は「穏当にしてその中道を得るが故に,朕兆(きざし)の眼に見えざることまでも逃すことなし」(松平定信)といわれ,とりわけその人物描写に生彩を放つ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
17
◎日本外史の中でも特に好きな巻です。とはいいながらも一気に読むことは出来ずじわりじわりと隙を見て読んでいました。特に毛利と織田の部分が好きです。後北条の部分で勝頼が氏政の妹をよめにしたことをもって配下になったと言う話等ところどころ驚かされる部分もあります。2020/10/04
零水亭
9
①武田氏・上杉氏の巻が特に好きです。 ②足利氏の「論賛」が痛烈ですね💦2025/02/09
アメヲトコ
4
中巻は足利氏から後北條・武田・上杉・毛利氏、そして織田信長まで。ところどころ史実と異なる話が出てくるのはご愛敬でしょうか。毛利氏への論賛では山陽の安芸人としてのプライドが垣間見えます。2016/11/26
denz
4
「足利氏」「後北条氏」「武田氏・上杉氏」「毛利氏」「織田氏」を収録。やはり面白いのは、「超世の才」を示した「織田氏」。彼の残虐な殲滅戦の前には、必ず重臣が戦死しており、その復讐という様相を呈している。信長は、内と外の感覚が明敏な「友敵」論の「政治」家だったようだ。また、完全に失墜していた「王室」が、信長の登場によって急上昇する。これが山陽の考える徳川体制の基礎をつくったという認識だろう。ちなみに本能寺の変の原因は、「怨恨」に求めている。本書が日本人の歴史観に与えた影響力は多大だと改めて思う。2012/02/26
にゃん吉
3
中巻は、足利氏から織田氏あたりまで。室町幕府成立以後は、嘉吉の乱、観応の擾乱、応仁の乱といった、日本史の教科書では数頁におさめられている内乱の歴史が、詳細に叙述されています。足利一族、管領、有力守護の人名が多々出てきて、何が何だか分からなくなりかけながら、どうにか読み終えました。常に、厳格に、叙述する人物の官と賊という立場が意識して書かれている(朝廷との相対的関係で、あるときは官、あるときは賊であることが、明確に示される)のが興味深くありました。