出版社内容情報
日本仏教史上の傑出した宗教者・良寛(1758-1831)は、漢詩、和歌、書で、自由無碍に境涯を表した。その歌は、日本人の心をとらえ、讃嘆されて来た。近世を代表する歌人である。良寛研究の礎を作った相馬御風(1883-1950)の評釈で、良寛歌を味わう(解説=鈴木健一・復本一郎)
内容説明
山かげの岩間をつたふ苔水のかすかに我はすみわたるかも―日本仏教史上の傑出した僧である良寛(1758‐1831)は、漢詩、和歌、書で、その境涯を自在に表現した。その歌は、日本人の心をとらえ讃嘆されて来た。近世和歌における独自の歌人である。良寛研究の礎となった相馬御風(1883‐1950)の評釈で、良寛の和歌を味わう。
目次
釈義・評語
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
56
私は和歌や漢文で技巧が凝らし過ぎているものに気後れを感じてしまう。何故なら技巧が勝ち過ぎるが為に心情が巧く、読み取れないからだ。しかし、和歌でも率直に、だが韻律は壊さないように心情を詠った人物がいた。その人物とは良寛和尚。そして編選者である相馬御風氏の熱意も凄い。良寛和尚の歌が詠まれた人間関係やその返答歌も載せるという徹底ぶりなのだから。個人的に取ってきた芹を食べてもらえない訝しさを皮肉なく、詠った「さす竹に君がみためと久方の雨まにいでてつみし芹ぞこれ」、開き直って生きる事を朗々と詠う「なよたけは」が好き2025/04/24
千冬
3
良寛の和歌解説本であり、主役はあくまで良寛歌なのだが、編者の相馬御風の個性もまた強い。評言の一つひとつが実に熱い。あえて俗に表現するなら「良寛限界オタク・相馬御風による、強火レビュー本」という趣き。コミケなどで、その道の専門家による独特すぎる熱い同人誌を見つけて読んだような…あの感覚に近い。御風の評価はイマイチだが、「こひしくば たづねて来ませ わがやどは こしの山もと たどりたどりに」がなんとなく好き。2025/01/24