出版社内容情報
江戸中期の儒学者・政治家新井白石(1657-1725)の自叙伝.2度にわたる貧しい浪人生活の後,藩主綱豊の侍講として甲府藩に出仕した白石は,将軍家を継ぎ6代将軍家宣となった綱豊の信任厚く,ともに幕政の改革に乗り出してゆく.
内容説明
二度にわたる貧しい浪人生活の後、甲府藩に藩主綱豊の侍講として出仕した白石は、次第にその信任を得、「生類憐みの令」の将軍綱吉の養子となった綱豊が六代将軍家宣となるや、ともに幕政の改革に乗り出してゆく。六代家宣、七代家継の二代にわたって幕府の中枢で活躍した江戸中期の儒学者・政治家新井白石(1657‐1725)の自叙伝。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
62
「2度にわたる貧しい浪人生活の後,藩主綱豊の侍講として甲府藩に出仕した白石は,次第に綱豊の信任を得,「生類憐れみの令」の将軍綱吉の後を継いで綱豊が6代将軍家宣となるや,ともに幕政の改革に乗り出してゆく」様を語っているが、「折たく柴の記」は、白石の自らの一族に遺すための日記。公表する意思はなかったもの。肉声を聴く気がする。再読してよかった。2025/03/10
やいっち
25
一か月以上を要して、懇切な注釈を頼りに読み通した。一介の武士が将軍の信頼を得て幕府の枢要な政策に関与した(ちょっとだけ、菅原道真を連想した)。古今の典籍に詳しく、幕府(将軍や老中ら)が取り扱いに迷う課題に次々と提言していった。生類憐みの令で有名な、綱吉のやや放縦な政策を改革。「正徳の治」である。白石の性格そのままに生真面目な政治。白石によって遠ざけられた不満分子により、次の吉宗の時代になって地位を失った。が、お蔭で時間が生まれ、数々の著作を世に出したのだから、皮肉なもの。2018/08/04
やいっち
7
「2度にわたる貧しい浪人生活の後,藩主綱豊の侍講として甲府藩に出仕した白石は,次第に綱豊の信任を得,「生類憐れみの令」の将軍綱吉の後を継いで綱豊が6代将軍家宣となるや,ともに幕政の改革に乗り出してゆく」様を語っているが、「折たく柴の記」は、白石の自らの一族に遺すための日記。公表する意思はなかったもの。肉声を聴く気がする。再読してよかった。2025/03/10
AR読書記録
5
自叙伝とあるけれど,政策司法関係で相談されて,こう答えたっていう部分の記述が多い.司法系では「父に夫を殺された娘が,(結果的に)父を訴え出たことになるのは不孝の罪にあたらないか」とか,現在とは法・倫理の背景が違うけれども,しかくい仁鶴がまあるくおさめるあの番組みたいな(いやそんな平和ではないが)興味深さがある.そして政策とか振る舞い的なものでは,過去の文献が非常に重要視されているので,知識・素養のある人の価値は高かったんだなぁ.それも,墨守というのではなく,時代に合わせて運用する力が必要なんだろうけれど.2013/09/09
笠井康平
2
自伝なのだけど、「我思うに」「我幼きころ」など添える用法のほかには、「我父」「我母」「我国」などなど、自分と関わりのあることについてしか「私」と書かないというところが面白かった。2013/07/15