出版社内容情報
単なる仏教説話としてではなく,漂泊の歌人・西行の作として七○○年にわたって読みつがれ,芭蕉などの文人や,後世の文芸作品等に大きな影響を与えてきた.今日では,実は本書が後人の擬作であったことが明らかにされているが,かえってこの仮託の作業を通じて形成された西行像の研究など,新たな興味を呼び起している.
内容説明
単なる仏教説話としてではなく、漂泊の歌人・西行の作として700年にわたって読みつがれ、芭蕉などの文人や、後世の文芸作品等に大きな影響を与えてきた。今日では、実は本書が後人の擬作でったことが明らかにされているが、かえってこの仮託の作業を通じて形成された西行像の研究など、新たな興味を呼び起こしている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
343
近代以前の人たちには西行の自著と信じられ、広く読まれてきた本書。もっとも、整合性を欠く部分は多々あるのだが、なにしろ写本で流布していた時代のこと。随所に『山家集』の歌を散りばめ、それらしく作られている。上田秋成も『雨月物語』巻頭の「白峯」の原典の一つに「讃州白峯之事」を用いている。もっとも、こちらは崇徳院の怨霊が現れることはないのだが。全体としては、発心譚、往生譚といった実録風の仏教説話なのだが、中には「西行於高野奥造人事」のように、人骨を再構成して奇妙な人造人間を造る話や羅生門の鬼の話などもあって⇒2022/04/19