出版社内容情報
自然と人間を愛し,宗教的境地をもいれるという西行の文学的特色は,『山家集』において最もよく知ることができる.古来幾千の歌人が歌いふるした花も,月も,恋も,彼の胸の琴線に触れて新しい響きとして歌い出されている.後に宗祇・芭蕉に偶像として尊敬された西行の姿は,この一巻にみごとに浮彫りにされている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
28
旧版、カバーなし、スピン(紐状のしおり)付き。「歌風が自然率直で、用語においても句法においても、當時の一般の歌の巧緻なのとは、全く別であつた。その作歌の態度は、直情的である。この點で、彼の歌風はむしろ萬葉の自然の風に近いものがある。」(佐々木信綱)2015/06/20
金吾
22
理解しきれてはいませんが、読んでいて情景が浮かぶ歌が多いため読みやすいと感じました。なんとなく気に入った歌をチェックしましたので、その歌を主体に再読しようと思いました。2024/06/01
しんすけ
21
読み終わっているわけではないが、終わるのを待っていたら死後となる可能性が高い。 堀田善衛の『定家明月記私抄』に西行の描写があった。 懐かしく思い数十年ぶりに手に取った。 何気なく開いたページでも、引き込まれてしまう歌を発見する。これは西行に特有のことかもしれない。 実朝の『金塊集』も好きな歌集だが、『山家集』のような体験をしたことはない。 デカダンスの技巧はあっても、自然に生じた言葉が少ないからかもしれない。2022/02/09
キョートマン
17
流し読みだったので代表作の「ねがはくば...」くらいしか理解出来なかったと言っても過言ではない。こういうのでもすらすら鑑賞できるようになりたい。2021/03/29
壱萬参仟縁
14
12C西行は自然人生の美を愛し感ずる情感において極めて真面目痛切、熱烈(旧字体5頁)。秋歌で「立ちこむる 霧の下にも 埋もれて 心はれせぬ み山べの里」(69頁)。山里も稲が刈られてトンボがあちこちにいるな。「月ならで さし入るかげも なきままに 暮るる嬉しき 秋の山里」(71頁)。月がよく見えたな。月の歌も多数収録。「けぶり立つ 富士に思ひの あらそひて よだけき恋を するがへぞ行く」(153頁)。当時の富士山はどうか。「木曾人は 海のいかりを しづめかねて 死出の山にも 入りにけるかな」(256頁)。2013/09/22