出版社内容情報
美貌と歌才を謳われ,権勢家の妻となった女の半生記.結婚生活の苦しみや悩みの吐露から,次第に内省を深め,やがて人生を静かに客観的に見つめるようになっていく.引歌による多層的な表現や物語的な手法の発展など,『源氏物語』の先駆をなす,平安日記文学の代表作.通読しやすいように本文を整序し,注を付した.
内容説明
一夫多妻の社会で権勢家の妻となった、美しく才能豊かな女性の半生記。結婚生活の苦しみや悩みの吐露から、作者は次第に内省を深め、人生を静かに客観的に見つめるようになっていく。引歌による多層的な表現や物語的な手法の発展など、『源氏物語』の先駆をなす、平安日記文学の代表作。通読しやすいように本文を整序し、注を付した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
76
日本の女流日記文学の一つであるが、余りの陰々滅滅さに読むと結婚に夢見る人には劇薬の古典です。夫、兼家は歴史上、影は薄いとは言え、当時は政治家、歌人としては立派だったそうです。しかし、妻や子供、女中達の言動から見る兼家は家族に対しては思いやりがない屑です。現代に生まれていたら妻からモラハラ訴訟を起こされるか、飼い殺しにされる奴だな、此奴・・・。日記の余りの辛さにどんな時代でも女の生き辛さを感じます。でも「藤原道綱女(はは)」という呼称が紡いだこの作品は、名も無き女達の声に出せない胸中を宥める手助けになるかも2017/08/07
阿呆った(旧・ことうら)
23
✿平安時代の日記文学の代表選手✿浮気な夫兼家との何やかんや。✿心理学系の『嫉妬』『不安』などのネガティヴ感情に関する本を読んで、これらの古典を読むと、文学と違った見方もできてオモチロイ!✿原文につき、注釈を頼り、一ヶ月をかけてなんとか読了。2016/10/12
壱萬参仟縁
1
一夫多妻制の社会、というだけで、今の一夫一妻制の社会に息苦しさを感じる人からすれば、それだけで、注目の一冊だろう。10世紀の平安時代に書かれた(解説317ページ)。逢坂の関は、大津から京都に行く時の国道1号線の信号近くにあると思う。その地名もかなり出てくる。和歌には修辞法で、掛詞が結構見られる。脚注のみでの理解は、専門家ではないので、現代語訳が必要に思う。2012/08/31
おの
0
◎切ない2011/05/21
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- 和書
- 江戸幕府試験制度史の研究