出版社内容情報
幼い時からかぐや姫の話として誰もが親しんでいるこの物語は,『源氏物語』の中でもすでに昔話として出てくるように,日本最古の物語文学といわれる.光を放つ一筋の竹の中から生まれて気高く成長した姫が,貴公子たちやみかどの求婚をしりぞけて天に昇っていく姿が,他の平安時代の物語に比べ分り易い素朴な文章で綴られている.
内容説明
幼い時からかぐや姫の話として誰もが親しんでいるこの物語は、『源氏物語』の中でもすでに昔話として出てくるように、日本最古の物語文学といわれる。光を放つ一筋の竹の中から生まれて気高く成長した姫が、貴公子たちやみかどの求婚をしりぞけて天に昇っていく姿が、他の平安時代の物語に比べてはるかにわかりやすい、素朴な文章で綴られている。
目次
1 かぐや姫の生ひ立ち
2 貴公子たちの求婚
3 仏の御石の鉢(石つくりの皇子の話)
4 蓬莱の玉の枝(くらもちの皇子の話)
5 火鼠の皮衣(あべの右大臣の話)
6 龍の頚の玉(大伴の大納言の話)
7 燕の子安貝(いそのかみの中納言の話)
8 御門の求婚
9 かぐや姫の昇天
10 ふじの山(むすび)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
43
奥付には1985年第18刷で定価150円とある。恥ずかしながら高校生の頃からの積読本である。先日、角川文庫(星新一訳)に収録されていた原文を読んだのだが、岩波に採用されたものとは本文、用語解釈に違いがあって面白い。祖本が現存していず、写本としてのみ伝わるこの物語が、誤写というヒューマンエラーの他に、写された時代に合った言葉に置き換えられている可能性が高いという解説は、読んだ甲斐があったと感じさせてくれた。2015/01/21
ichi-papa
28
もう何度目かの再読。何度読んでも「よく出来た物語だなあ」と思います。「髪上げ」をするあたりの様子に「男性」というものの本質がよく描かれているように思いますし、特にラストあたり、天人が降りてくるあたりからの「たたみかける」様子、見事です。よく読みこむと、あまりよく知られていない「かぐや姫」の本当の気持ち(誰のことが好きだったか)なども描かれており、唸らされます。いろいろなジャンルの祖として語られますが、私はやはり「恋愛もの」の祖として読みたいなあ・・・。2015/11/14
Aminadab
23
漫画「かぐや様…」が面白いので原典初読み。ずいぶん古くからある話なのだろうが、不詳の作者が今ある形に膨らませたのは9世紀末ではないかと校訂者は推定する(90頁)。源氏物語より約100年古いわけ。文体が古いのに、作者は明らかに始めからエンタメと割り切って書いていて、創作態度がえらく近代的。かぐや姫の性格ブスぶり、求婚者たちのドタバタもさることながら、ツッコミ役の竹取の翁が生き生き描かれていて、板挟みで困ったり、インチキに怒ったりするところがいちいち可笑しい。思わず「お可愛いいこと」と言ってしまいそう。2022/06/08
双海(ふたみ)
16
”かぐや姫”の「や」は”木花佐久夜比売”の「や」と同じ語構成要素かもしれない、という指摘は私にとって大きな収穫です。2014/01/12
しょうゆ
14
私が購入したものは今から40年近く前に刷られた古本なので、フォントやページの日焼けが味わい深く、作品とマッチしていて読むのが楽しかった。竹取物語は未だに成立年代も作者も分からないというところに一種の魅力を感じます。原文で読む古典文学はやはり良いなあ。リズムが良い。古文読めない人でも注釈があるので、ある程度は内容掴めると思います。研究者の間でもかぐや姫の名前の由来や解釈など、色々と意見が分かれるらしく、そこもまた面白い話だと思います。2017/11/27