出版社内容情報
併合に到る過程を詳細に検証し,併合が合法・正当であったという日本政府の主張の誤謬を明らかにする.
内容説明
併合は両国の合意によって行われたのか。実行過程を詳細に検証し、併合が合法・正当であったという日本政府の主張が誤謬であることを明らかにする。
目次
1 日露戦争後の日本の韓国支配
2 日本政府の併合断行方針決定さる
3 寺内正毅の登場
4 併合の実施過程
5 併合の宣布
著者等紹介
和田春樹[ワダハルキ]
1938年大阪生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学社会科学研究所教授、所長を経て、東京大学名誉教授。専攻は、ロシア・ソ連史、現代朝鮮研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
19
今日もなお、併合条約の合法性、条約による韓国併合の正当性の認識は日本政府の公式見解であり続けている。それが、1965年日韓条約第二条の日本側解釈を支え、日本の植民地支配の弁護論の最後のよりどころとなっている。今日の日本人と韓国、朝鮮の人々との歴史認識の対立の源泉がここにある。16頁。小村寿太郎は韓国の保護国化のさい、条約が結べなければ、一方的通告で押し切ることも辞さない腹であったことが知られている。この方針は、小村の提案で保護条約の締結をめざすことを決めた1905年10月27日の閣議決定に盛り込まれた。2020/07/26
aeg55
5
先に読んだ1995年の『韓国併合』は通史と言うこともあり、1910年の韓国併合に関連する記述は少なかったが、25年経った今、かなり研究が進み、その交渉(脅迫?)の過程が明確になってきていることがわかる。特に伊藤博文、小村寿太郎、寺内正毅の所業の醜さが際立つ。他の人々も同じだが、彼らにとっては、明治維新の延長、かつ、日本の戦国時代を生きて悦に入っている気分だけのモチベーションによって韓国併合、そしてその後のアジア各地の侵略植民地化に繋がった、と考えると、なんとも言い難い気持ちとなる。2020/02/14
takao
2
ふむ2024/09/14
すけんこ
2
自分は在日とのミックスらしく、妹と弟は「何人でもいいじゃん」と言うのですが、人種を理由にあなたの権利が脅かされることはないと言い切れない事実があるなら、ルーツは話される必要があると思い、まずは二国間で何があったのか知りたくて手に取りました。日本生まれ日本育ちなので日本人としてこれを読んでいますが、こんなの歴史授業でやってません。日本人に生まれて恥ずかしいと思ってしまい、そんな風に思わせておいて、逃げおおせようとしているものたちにも恥を知りました。やり直したい。2020/03/17
kurousagi
0
日本人には韓国人の立場で、 韓国人には日本人の立場で読んでもらいたい本。強引に植民地にされた人々が遺恨を残すのは当然だし、陣取り合戦をしていた時代の渦中に飛び込んでいった日本の言い分にも正当性はある。禍根となったのは明国が負けたことなんじゃないか思うほどのどうしようもなさ。薄い本書には、その血を噴くような動乱の生々しさがてんこ盛り。のちの東條英機といい、爵位に釣られて亡国一直線の売国奴は恐ろしい。本書のように、記録して調べてまとめて発行してをしてくれる人たちはとにかく偉大よ。2023/06/10