出版社内容情報
支持率が落ちるも改憲に固執する安倍首相。だが、現行の憲法改正国民投票法には致命的欠陥がある。投票運動期間中の広告規制がほとんど存在しないのだ。これを放置したら一体何が起こるのか。第一人者が警鐘を鳴らす。
内容説明
国民投票の帰趨を左右するのは広告宣伝、ここで改憲派は圧倒的に有利な状況にある。投票運動期間中のメディア規制がほとんどないのをいいことに、豊富な資金力をもとに巨大広告代理店=電通が一手に作成するテレビCMを大量投入できるのだ。国の将来を決める局面で、国民は、果たして公正な判断ができるのか?
目次
第1章 国民投票法の概要と広告の役割
第2章 現行国民投票法の問題点「広告は無制限」の危険性
第3章 メディア規制の具体案と欧州諸国の規制例
第4章 衆参憲法審査会と民放連への要望
著者等紹介
本間龍[ホンマリュウ]
著述家。1962年、東京生まれ。博報堂で18年間、一貫して営業を担当。2006年同社退職。博報堂時代の経験から、原発安全神話を作った広告を調査し原発推進勢力とメディアの癒着を追及。また、東京オリンピックなど様々な角度から大手広告代理店のメディアへの影響力の実態を発信するなど、幅広く活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほじゅどー
25
★★★現行の国民投票法には大きな欠陥がある。公職選挙法と異なり場所、時間を問わず運動可能であり、資金・寄付金の規制もなく、投票運動期間中のメディアにおける広告規制がほぼ存在しない。このため資金力のある与党はいくらでも無制限に資金を広告に投入することができる。2011年3月11日福島原発事故発生以前の日本の主要メディアの殆どが原発の安全神話を宣伝していた事実を見れば一目瞭然である。改憲派の広告宣伝を一手に担うのは「電通」。その他の問題点は、周知期間、運動期間が短すぎる。最低投票率が規定されていないこと。2017/11/08
ちゅんさん
23
読んでて怖くなった。電通ってそんなに力があるのか、知らなかった。富や権力が偏り過ぎてますね。憲法改正の国民投票はそんなことがあってはいけない。今すぐ是正を。2018/09/10
uD
20
本間龍さんの本は2冊目。 もうタイトルの通り、その予期される問題を提起し深く深く切り込んでいます。 問題点を羅列し一方的に批判するだけの安っぽい内容ではなく、著者なりの対処法・解決法をきちんと提示しているところにすごいなあと。 よく言われることですが、現状を批判するだけでなく、「じゃあどうすればよいのか?」の答えを論理的に主張することって大切ですよね。と同時に決して簡単なことじゃない。 まさに、言うは易く行うは難し。 そういった意味合いで(本書のような)“しっかりした本”をたくさん読んでいきたいです!2018/07/06
coolflat
18
いわゆる国民投票法は2007年に成立した。この国民投票法の特徴は、非常に自由度が高いという点にある。公職選挙法のような細かな規定がないため、いつでもどこでも、また何時まででも投票運動が可能だということ。さらに資金や寄付金の規制もないため、いくらでも資金を集めることができ、その詳細の報告義務もない。そして投票運動の中核になる広告宣伝活動にも、投票日2週間前からのテレビCM放映禁止以外は規制が何もない。つまり、これは資金がある政党や企業が、莫大な予算を投入して大広告宣伝戦を有利に展開できるということである。2018/05/02
小鳥遊 和
12
最近『電通と原発報道』から著者を知り本書に行き着いた。coolflat氏ほかのすばらしいレビューを読めば本書の骨子はつかめる。国民投票法の改正は今なお国会審議中で、YouTubeで”参議院憲法審査会(2024年6月12日)”で検索すれば各党の意見が聞ける。広告規制や投票日程は「改善」の途上にあり、本書他の「国民投票はメディア100年に1度の大特需だ」との指摘は議員に届いている。少数与党状態の今こそ、野党は様々な面での改革を実現してほしい。評者は「項目別賛成派」だが、公平な手続きは何より重要と考えるからだ。2025/02/18
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- 和書
- 我が輩はニャンで或るか